第15話 連絡

 着信に気が付き、相手を確認するとジョナサンだった。

「こんな夜中にどうしたんだジョナサン?」

「やーデイヴィッド、遅くに申し訳ない。教えて欲しいことがあったんだ」

「良いけれど、もう眠るところだから、手短に頼めるかな?」

「うん。父に垂直リニア実験の記録ビデオを見せたんだ」

「え?あれをソール・レッドシールド男爵に!?」

僕は背筋に寒気が走るのを感じた。

「どんな反応だったんだい?」

恐る恐るジョナサンに質問をし返してみる。

「素晴らしい!そう褒めていたよ」

ジョナサンの声が笑っている。

「ドローンを破壊してしまったのが素晴らしいって?そりゃあ奇特なお父さんだね」

僕はほっとして胸をなでおろしながらも苦笑した。

「それで、父から質問を受けたので答えて欲しいんだ」

「何だい?」

「彼は宇宙エレベータを造りたいのか、それとも、新たな軍事技術を開発したいのか、どちらなのか?そう言ってた」

「え?軍事技術?」

「デイヴィッド、君の返答次第で今後紹介する相手が変わってくるそうなんだ」

「あ、確かに。あれはレールガンの一種だと言えなくもないからな」

「レールガン?」

「うん。しかし、流石に鋭いお父さんだな」

「そうか。あながち間違った捉え方ではないというわけなんだな?」

「そう言って良いと思うよジョナサン」

「ふーん。ところで質問の答えを教えてくれないか?」

「もちろん宇宙エレベータだよ。決まっているじゃないか」

「そうだよな。改めて父に伝えておくよ」

「そうしてもらえると助かる」

「じゃあまたな」

「うん、おやすみ」


 ジョナサンからの連絡はあっさりと切れた。僕はシャワーを浴び、ガウンを羽織った。ショートメッセージの着信音があったのは、さて寝るかとベッドに倒れこもうとしたその時だった。

「ケンブリッジに行ってみたいの。少し先だけど、来年のオープンデイ、兄に案内を頼もうと考えています」

眠れなくなる予感が僕の脳裏を過った。メッセージの主はニカだったのだ。

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