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店長である赤い丸が、その赤い球体に向かって挨拶した。
俺は、小声で店長に耳打ち(耳は無いがそのくらいの小声で球体の近くで)した。
俺「あの人、黒くないけど、黒い丸って名前なの?」
店長は、よくされる質問に答えるような口調で、こう言った。
赤い丸「私達の種族(赤い球体の一族)は、怒ると全身が真っ黒くなり、さらに怒りの度合いが高くなると、身体中からトゲが生えてくるのです」
俺「それって、俺達の世界のウニのデカイの
みたいになるって事かい?」
赤い丸「そうです。彼が黒い丸と言われている理由は、我々の中でも一二を争う怒りっぽい個体で、赤い球体である時間帯より黒い球体である時間帯の方が多いからです」
俺「あぁ、なるほど…」
店長の答えに俺が相づちを打った時、そいつは、声を荒らげた。
黒い丸「店長! 何をコソコソ話してるんだ。俺には話せない事か!!」
店長は、少し黒くなった球体に、なだめるように言った。
赤い丸「いえいえ、聞かれて困る事はありません。実は、この方に、コンテストの審査員になって頂けないか話していたところなのです…」
黒い丸「コイツに…?」
黒い丸が、俺をにらんだ(ような気がした、目もないのだけれど)。
そして、ひと月ほど前にたくさんの黒い球体に
追いかけられた事を思い出した。
きっとあの時、追いかけてきた者のなかに、彼が居たに違いない。
そう一人で納得した。
第5章へつづく
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