第121話 キウイバーガー
「おはよーわん! ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わん。今日は『ムトゥンガ遺跡』探索のための補給を兼ねてこの『城塞トゥアルア』の街歩き配信わん!」
スタート地点は城の前の大きな広場。ここから魔境の方向にある西門まで一直線に大きな通りが続いている。
◯[え、街歩きって久々な気がする。そういや屋台も一杯出てるな]
◎[このチャンネル、タグにスローライフって付いてました……よね?]
∈[まあスローライフを謳っていてスローライフな配信は見たことないしにゃ]
広場の中央には大きなクマの像、つまりはベアゴローさんこと初代クマノ勇者国国王の像が建っている。そして、広場の外周には所狭しと様々な屋台が並んでいた。
「まずは腹ごしらえわん。みんな何か食べたいものはあるかわん? あ、騎士団さんにも奢るからおすすめがあったら教えてわん」
よりどりみどりな屋台を前に
「
「わたしは何でも食べますのでお嬢様の好きなもので……」
キョロキョロと興味深げに屋台を見回すのは
「お肉でしたら、キウイバーガーがおすすめですかね。元祖と本家が有名ですが……」
「いやいや、先輩、今はシン・キウイバーガーで決まりですよ。ほら、丁度オープンしましたよ!」
若い騎士団員に引っ張られて大きく『シン・キウイバーガー』と書かれた屋台へと向かう。ちなみに『元祖キウイバーガー』とか『本家キウイバーガー』だけでなく『勇者御用達キウイバーガー』など、三つに一つはキウイバーガーの屋台のところを見るとトゥアルア名物っぽい。
◎[キウイバーガー、名前だけで美味しそう。もちろんキウイ肉だよね?]
∴[あー、どうかな。メロンパンとか……、あ、普通にフルーツバーガーかも]
◯[飯テロ配信は朝ご飯抜きのオレに効く]
「キウイバーガーってやっぱりキウイの肉の入ったやつですか?!」
「いや、そういうわけでは……」
「お、いらっしゃい! ウチのはちゃんとキウイ肉だぜ! 特に今日はいいキウイ肉が大量に仕入れられたんで期待していいぞ。で、いくついるんだい?」
「先輩、ここのキウイバーガーはキウイ肉を使った本物が売りなんですよ。ちなみに、フルーツのキウイも挟まってます。あ、わん太さん、人数分で良いですか?」
「もちろんわん。とりあえず、人数分、気に入ったら追加で大量に欲しいんだけど大丈夫わん?」
今日はムトゥンガ遺跡行きの食料調達も目的だ。一応インベントリ内には食材はいっぱい入ってるけど、美味しいご飯はどれだけあっても困らない。
「おっけー、人数分だな。ウチの『シン・キウイバーガー』はキウイ肉だけでなく、モアの卵を使った目玉焼きに、赤マンドレイクじゃなく赤マンドラゴラを使った渾身の一品だぜ。気に入ること間違いなしだ」
屋台内の鉄板では卵と肉が美味しそうな匂いを出して焼かれており。焼き上がった順にバンズに挟まれていく。
鉄板の端のほうには丸いたこ焼き機のような窪みがあり、そちらでは半熟となった黄身が順番待ちをしていた。
∪[モアってあのでかい鳥? 居るんだ……]
▽[それより、赤マンドレイクと赤マンドラゴラの違いは? ってか食えるのかよ]
∈[そんなことより美味しそうにゃ。大量に買い込んでバザーに流して欲しいのにゃ]
「ほい、全部で六つだな、人数分出来たぞ。ここで食うならそっちの椅子を使いな」
「ありがとわん!」
屋台の周りには幾つも椅子やテーブルが置かれており、フードコートのようになっている。
今も朝ご飯用に屋台で食べ物を買っては食べていく人がチラホラと見られた。
「これがシン・キウイバーガーですか。こんがり焼けたキウイ肉は最高ですね」
「お嬢様、目玉焼きも美味しいですよ」
「おお、ネタじゃなくてホントにフルーツのキウイとキウイ肉のバーガーは初めてだがうまいな」
「我も気にはなっていたが食べたのは初めてだ」
「でしょー、ここのシン・キウイバーガーは絶品なんですよ」
麻結さん、クレスさんは初めてのハンバーガーに夢中で齧りついている。
そして、騎士団員の二人も額に角の生えた少女と一緒にキウイバーガーを頬張っていた。
「えーと、誰わん?」
◎[美少女きたぁーーーっ!!]
∴[角、鬼人族かな。こっちでも多くはないけど、わん太君の配信では初めて見るかも?]
◆[魔人、鬼人、竜人族はβ2からで鬼人族は物理特化の種族だね]
「ん、我はレヴィだ。少し前からここらで冒険者をしている」
「はっ、レヴィさんいつの間に我々に混じってキウイバーガーを食べてたんですか?」
横で一緒にバーガーを頬張っていた騎士団員さんが目を見開いてびっくりしている。
ちなみに、二人の騎士団員さんはアマレロさんとジャッロさんでムトゥンガ遺跡行きのメンバーでもある。
「えぇっ……、一緒に屋台にも並んでましたよ。てっきり先輩が呼んだものと思ってました……」
「いや、この後に
アマレロさんはバツが悪そうにしている。
「なんの依頼わん?」
「ムトゥンガ遺跡行きの案内人です。レヴィさんは魔境の奥まで入れる数少ない探索者の一人ですから」
「なんだ、ワンコ達はムトゥンガ遺跡へ行きたいのか。うーん、そこのワンコは合格、お嬢ちゃん達はまあ大丈夫かな。お前らは……、辿り着くまでに鍛えれば何とかなるだろ」
じっとボクたちを見つめる金色の眼が微かに光った気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます