第85話 南の島へ
「猫妖人わん? 猫獣人や
猫妖人と名乗った
◆[明らかに猫獣人よりケモ度が高いけど、猫妖精と比べれば人寄りだよね]
∴[妖精とは違う妖人って区分?]
∈[猫妖人ってことは犬妖人とかもいるのかにゃ?]
「そういえば此処らには猫妖人は居ないと聞きましたにゃぁ。某はエト獣族連邦国の西の生まれでして――」
どうやらエト獣族連邦国はラナ王国の東にある国らしい。
つまり、アンメモでの普通のプレイヤーの『はじまりの街』こと『コトの街』の西側には『ルーダン魔王国』、東側には『エト獣族連邦国』があるのだ。
「――エトは半分以上が獣人系ですにゃぁ。猫妖人の祖は猫又と呼ばれる偉大な妖怪なのにゃぁ」
エト獣族連邦国は獣人族、そして、獣妖人族と呼ばれる妖怪を祖とする種族が多いらしい。
ちなみに、
「それで、勝魚さんは南の島に着いてきてくれるで良いわん?」
着流し姿で腰に二刀を差した勝魚さんは明らかに強者の雰囲気を醸し出していて同行者として申し分はない。
「もちろんですにゃぁ。某は武者修行中でありますし、南の島にはとてつもなく美味しい魚達が待ってると
◎[おお、やっぱ武者修行らしく強い者に会いに……って魚目当てかよ!!]
▽[南の島は魚が美味いのかぁ、裏山じゃなくて、それよりやっぱりラナの東に『エト獣族連邦国』があるので確定かよ]
∈[魚いいにゃあじゃなくて、『エト獣族連邦国』の情報頂戴にゃ]
「わん太様、お魚が美味しいんでしたら私も着いて行っても良いでしょうか?」
「えぇっ、ちょっとお姉ちゃん、ずるいっ! じゃなくて、私も行きたいのに……」
ひょいと顔を覗かせた
紗妃さんは迷い宿の三姉妹の真ん中で女将の
◯[おお、四尾の狐さんきたーー!]
❤〚もふもふー。
◆[
「小薄ちゃん、私は
「あ、えーと、よろしくわん? 勝魚さんも良いかな?」
刀を横に置いて座り、焼き魚をつついていた猫さんに目を向ける。
「もちろんいいにゃぁ。某は前衛で切るしかできないので紗妃さんが後衛ならばバランスがいい、それに料理も上手いから道中も助かるにゃぁ」
「よかったわん。後は城下街に戻って準備をしたら出発わん」
◆ ◇ ◆
「南の島ですか……。我々ドウェルフ族は南の島、いえ、元は西から渡ってきたと伝えられています。北の島に来たのも数代前でその時はダンジョンで繋がっていたと――」
パウリ城下街まで戻ってきたボクたちは南の島への行き方を求めて南の方から来たヒャルメンさんに話を聞いていた。
◆[地理的にはわん太の北の島と今から向かう南の島。そして、西の方にも何らかの島か大陸があるということか]
▽[普通ならその西の方が俺らのとこだけど、北半球と南半球だから違うんだよなぁ]
◯[アンメモ広すぎ問題。『ルーダン魔王国』行けるようになったと思えば『エト獣族連邦国』出てくるし]
「――それに、南の端に行くにはエリアボスを倒す必要もありますな」
「エリアボス?! そういえばフカルア山に行ったときは会わないように避けたんだんだったわん」
「元々儂らがパウリ村へと逃げてきたのもエリアボスが現れたからですじゃ。もっともフカルア山の雪が止み、南の森を抜けた先にも拠点を建設中ですからさしもの奴も大幅に弱体化しているのは間違いありますまい。わん太様、是非とも奴を、『冬将軍』をボッコボコにして南への道を開放してください」
ヒャルメンさんが珍しく好戦的な笑みを浮かべている。
「お、おぉ、わかったわん」
「ふむ、『冬将軍』ですかにゃぁ。是非手合わせをしてもらいたいエリアボスにゃぁ」
将軍と聞いて勝魚さんの目もキラリと光る。尻尾もパタパタと忙しなく動き出した。
「して、その『冬将軍』とやらはどんなエリアボスにゃぁ?」
「元は身の丈10メートルはあり白い甲冑に勝魚さんと同じ刀とやらを振り回していましたが、最近の報告では3メートル程に縮んでいるようですじゃ」
どうやら気候と拠点の影響で大分弱体化はしているらしい。しかし、まだ簡単に倒せるようなものでもないとのことだ。
「ふむ、やはり某の知っている
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