閑話 Unmemory Dungeon
―― ダンジョン村(仮)あらため『リスポンの町』のリスポンダンジョンオープンを記念して乾杯わん!!
「「乾杯!」」「わん太さまー!」
「リスポンの町バンザーイ!」
「よし、飲むぞー」「今日はわん太様の奢りだ、飲め飲め」
宿屋の前の広場でわん太様の挨拶からのどんちゃん騒ぎが始まった。
元々この場所には何もなかった。いや、だだっ広い平原に目印となる小さな岩山とダンジョンはあったが、それだけだった。
わん太様がこの島に最初に降り立ったのがここだったらしい。
わん太様は恐らく犬獣人、いや、オレたちと同じ
「よぉ、クープル飲んでるか?」
広場の喧騒を眺めながらちびちびと米酒を飲んでいるとギルド職員のマーカスがジョッキ片手に寄ってくる。
「ああ、飲んでるよ。こいつはわん太様が東の森の
「そういえばお前はこの前の探索でわん太様と一緒だったな。ところで、ダンジョンには潜るのか?」
「当然だろう、折角ダンジョンがオープンしたんだ潜るに決まってるさ」
「わん太様が用意したダンジョンだしな、ただ、結構特殊だぞ?」
「それは知ってる。というか、『ダンジョンのすゝめ』の冊子を配ってたのお前じゃないか。それにスキルが手に入るかもしれないダンジョンなんて入らないやつなんていないぞ!」
わん太様曰く『ローグライクダンジョン』というものらしい。
ダンジョンに入るたびにレベルは1に戻る。スキルも持っていない状態となる。
ダンジョンにアイテムを持ち込む事はできない。
ダンジョンの構造は毎日変化する。なお、挑戦できるのは1日1回のみ。
ギルドとしては訓練用のダンジョンとしてもちょうど良いと考えているらしい。
そして、ダンジョンをある程度踏破した場合、アイテムやスキルを幾つか持ち帰ることができる。つまり、スキルを増やせる可能性がかなり高いのだ。
「まあ、スキルオーブとか普通は手に入らない事を考えると潜るか……。ギルドとしてはダンジョンからの資源の持ち帰りができないのがネックなんだが、うーん、わん太様に相談したほうが良いかぁ」
◆ ◇ ◆
―― ミッション:
そんなミッションがシステムの
他のユーザーに迷宮メニューが増えたとの報告は聞いていないので建国メニュー同様ボクのシステムだけに追加されているのだろう。
「ボクの遊んでいるのはMMOではなくやっぱりシミュレーションゲームだったわん……」
最近、建国ミッションの方は放置してても勝手に進むようになっているがここに来てダンジョン要素が増えてくるとは。
「ダンジョンマスターになった……というか押し付けられたダンジョンは幾つかあるけど運営できそうなのって一つだけだよなぁ」
ということでダンジョン村(仮)あらため『リスポンの町』のダンジョンをオーソドックスなダンジョンに改装して運営を始めることにした。
なお、ローグライク風な基本機能を変更することは出来なかった。どうやらダンジョン毎に最低限の基本コンセプトはあるようである。
クロセルさんに確認したところ、やっぱり火山のところのダンジョンを涼しくしたり、砂漠に水のダンジョンを作ったり等はできないらしい。
運営を開始したリスポンダンジョンのフィードバックへの対応も忙しい。
―― 「わん太さまー、持ち帰れるアイテムを増やしていただかないとギルドが破綻します」
「木の武器で良いですから初期装備がないと一層のポヨポヨでみんなリタイヤしてしまいます」
「スキルパネルが開いたんっすけど、便利っすねこれ」
「ん? スキルパネルが開いたってどういうことわん?」
フィードバックの中に気になる情報があった。
「わん太様たち
「あれは実に便利ですな。これまでギルドで調べてもらってスキルの名前だけだったのがわかるようになりました。それにスキル配置を変更することでコンボ技も出せるようになりましたぞ!」
リスポンダンジョンに対するフィードバックを一緒に確認してくれていたシルヴィアさんとゴルディさんもスキルパネル等の機能が解禁されたらしい。
そういえばフレンド機能や配信視聴の機能なんかも一部NPCには解禁されていた。この辺の機能について運営からのアナウンスはないのだが、運営側も把握していない可能性があるのが少し心配だ。後でチーフさんにでも情報提供はしておこう。
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