第77話 迷い宿7
「ん~、おはようわん。迷い宿探索の、えーと、三日目?を開始するわん」
微妙に眠い目をこすりつつ配信を開始した。
◯[おはー、今日は昨日の謎解きの答え合わせかな]
◆[まあ、流石に季節を辿るで違ってたらお手上げだろうしなんとかなるだろ]
∪[けど、思った通りならソロだと無理なダンジョンだよね]
このダンジョンのギミックは
「それじゃあ、まずは通路の季節が固定されるかの確認から入るわん!」
確認手順としては簡単で、複数人で通路に入り季節が判明するところまで進む。判明したところで何人かをその場に残して安全地帯まで季節を伝えに戻ってくるのだ。
後はひたすらトライアンドエラーで通路と安全地帯の往復を繰り返しつつ季節順に通路を巡る……
「……複数パーティでの探索で良かったわん。そして、思ったよりも凶悪なギミックだったわん……」
今は最後の通路を前に休憩をとっていた。
▽[通路にいるだけでは駄目で、季節判断できる位置に居ないと季節が変わるなんてなぁ]
◎[後ろを向いたら季節が変わってるのにはびっくりしたね]
∈[あっちもこっちもゴール間近で目が話せない展開だにゃ]
「そう言えばルーダン魔王国の攻略組もそろそろロコノオ城下街に着く頃わん? フォルダンの街がそのままってことはロコノオ城下街もあるのかな、城下街だけ廃墟になってるとかってないよね?」
◯[怖いフラグ立てはやめて差し上げろwww]
▽[ところで、ロコノア城下街というかルーダン魔王国は誰が治めてるんだ? もしかしてミラさん?]
∈[夏イベの時はわん太が……って、実際どうなってるのにゃ?!]
「ほぇっ、あぁ、夏イベ終わるときにミラさんに全部任せてきたわん。なので、変わってなければルーダン魔王国の王様はミラさんだと思うわん」
ルーダン魔王国の復興は色々あってボクたちのクランで行ったけど、最終的にはミラさんに任せてることになったはず。
夏イベのときはミラさんと連絡が取れたのだがそれ以降は連絡がとれず、フレンド欄ではオフライン扱いになっているのが少し心配だ。
◎[えっ、わん太ってもしかしてすごい犬?]
◯[実は割と凄い犬。ってか、実際に王様だったりするんですよ、忘れがちだけどw]
◆[現在、わん太の居る島全部がわん太の領土扱いになってるからラナ王国より大きい国の王様かもしれない]
「え、あれ? そうなるのかな。確かにクロセルさんによると島全部が領土扱いになってから土地だけでいうとラナ王国より大きいのかも。だけど実際に行ける範囲はまだ狭いわん。そう言えばこの森を抜けた先に行こうとしてた気もするわん」
「そうですよ、ワイが東の森の先の漁村から来たんをわん太はんが聞いて、海に行こうとしてましたやん……」
「あの時にもう少し森の調査をしておくべきだったかも知れませんな。今となっては手遅れですが」
あきんどさんも森の中で迷ってこっち側に出てボクらと出会ったのだった。思えばその時からダンジョン化が徐々に進んでいたのだろう。
「うん、みんな十分休憩はとれたかな? それでは最後の冬の通路を通って最終地点に向かうわん!」
ここまで春夏秋冬の春のサクラッキー、夏のヒマワリン、秋のカエデッキーと辿ってきた。残りは冬のモミノッキーだけだ。
一旦四方向に偵察を送り確定した冬の通路へと踏み込んだ。
◆ ◇ ◆
「そーれっと。モミノッキーは相変わらずオーナメントを落とすんだね」
サクッと手斧でモミノッキーを片付ける。
◆[紅葉狩りイベントは終わったけど、週末には新規プレイヤーも入ってくるし季節物としてこっちでもモミノッキーの出現率があがってる]
▽[ああ、完全新規プレイヤーは今週末からか。ワールドクエストが進んでるからもう入ってると思ってた]
※[こんなに早くワールドクエストのトリガーが踏まれるのは予想外っぽいですよね]
アンメモは正式サービス開始すぐに新規プレイヤーを受け付けたわけではなく、まずベータプレイヤー、次にベータプレイヤーからの招待によるプレイヤー、そして、完全な新規プレイヤーと段階を踏んだ開始となっている。
サーバーへの負荷軽減と正式サービス開始とは言え問題発生が出ないかのテスト期間を兼ねていると公式発表も行われている。
「完全新規プレイヤーなら開始位置にパウリ城下街を選択でき……」
▽[それはないない]
∴[ワンチャン、ルーダン魔王国はあるかも]
※[ああ、それなら新規プレイヤーも納得しそう。ナイスアイデア!!]
「こっちに来てもらってもいいのになぁ。ともかく、そろそろ出口わん。無事に森を抜けられたかどうかお楽しみにわん」
いつの間にか雪が積もり視界が悪くなっていた通路を抜けると大きな門構えが見えた。
――
ガーディアン戦を開始します……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます