第72話 迷い宿2
―― 緊急ミッションが開始されました。
*
* 期限:14日
※[えぇっ、ミッション発動しちゃうの?!]
▽[流石は王様。まぁ、ミッション出す側で権限があってもおかしくはないか]
◆[もしや、マッチポンプ的にミッション出し放題?]
―― ピコン!
『緊急ミッション:
「あ、ミッション自体は前のミッションに統合されたっぽいわん」
緊急ミッションはギルドが緊急性の高い案件に対して発動する強制力のあるミッションだ。例えばエリアボスが発生した場合等がそれにあたる。
今回の件では元々依頼として通常ミッションとして扱われていたが、王様でもあるボクが直々に緊急要請を行ったことで緊急ミッションに格上げされたらしい。
なお、ギルドに依頼料さえ払えば誰でも依頼自体は可能とのことだ。
∈[ミッション発生条件として依頼を出せば良かっただけなんて完全に盲点だったにゃ]
◎[ギルドの手数料もあるし、自作自演ではギルドのランクはむしろ下がるのか……]
◯[ギルドの掲示板とシステムのミッションメニューって微妙に違ってるのかなり巧妙な罠じゃないか?]
ギルドの依頼掲示板の前は
それよりはミッションメニューのデイリーミッションをこなしたほうが報酬も良い。
「ああ、ギルドの依頼とデイリーミッションは同じのも多いけど管理上は別だよね。両方こなした方が毎日の報酬が多くなって助かるわん」
「わん太様はこのギルドでも依頼達成率、受注数ともにトップレベルですからね。むしろ依頼の受注数を減らして欲しいと皆から嘆願書が出ています」
「わん太さんの二つ名に『ギルドの
ギルド長だけでなくギルドたむろっている冒険者たちもひどいことを言う。
◯[草。わん太ってギルドで何してるんwww]
◎[二つ名と称号は違うの? どっちも聞いたことないんだけど……]
※[二つ名は単なる呼ばれ方だけど、称号はシステム的に認められた呼び名で効果がついてたりする。なお、二つ名が称号に反映されることもある]
「え、二つ名が称号になることもあるの? 勘弁してほしいわん」
実のところ称号は結構な数をいつの間にか手に入れている。幾つかは配信でも話題にしたが、配信で見せると問題ありそうなものも多い。
『ギルドの
「わん太様はギルドでも大人気ですから……」
支部長さんが色々と書き留めていた資料をまとめてギルド職員さんに渡した。
「それでは、早速緊急ミッションを貼り出してきます」
職員さんは資料の中から掲示板用の一枚を取り出すとパタパタと慌てて支部長室を出ていった。
▽[これで手の空いてる冒険者が迷い宿探しを手伝ってくれるな]
∪[早めに見つけないと迷い宿のキツネさんたちも食料なくなる?]
∈[緊急ミッションを出したは良いけど、わん太はどうするにゃ?]
「ボクはボクでまずは東の森の方を確認しにいくわん。キュウビ族の
キュウビ族のみんなはパウリの街に新しい宿を探しに来ていたのもあるが、食料調達が第一の目的だったらしい。その仕入れた食料を持って帰ろうとしたら迷い宿が彷徨いだして帰れなくなったわけだ。
◯[それならすぐに向かおう。キツネさんたちが待っている]
▽[一応他の冒険者も既に探しに行ってるんだよな。見つける宛はあるのか?]
∴[今から東の森に向かっても結構時間がかかるから、今日は移動で明日から探索って感じ?]
「そうだね、早速探索に行きたいんだけど、一筋縄ではいかないみたいわん……」
支部長さんに貰った資料の束をペラペラとめくってみると思った以上に難易度が高そうなのがわかった。
「そもそも、東の森がダンジョン化してそうなのはボクたちが紅葉狩りに行った時にギルドに報告していたわん。そして、ダンジョン化自体は迷い宿の影響らしいんだけど、どうやらダンジョン化が進むタイプだったみたいだわん」
当初は迷い宿と行き来する道もあり、玉緒さん達も普通に往復できていたらしい。しかし、その後は予期せぬ分かれ道等が出来始め、遂に迷い宿自体が彷徨いだして完全にたどり着けなくなったらしい。
「しかも、調査のために森に入った冒険者パーティが迷い宿にたどり着けないだけでなく、森から出るのも数日かかる迷いっぷりになったらしいわん」
そんなわけで、東の森を探索するには数日森の中で過ごす準備が必要になる。探索するパーティメンバーについてはギルドで募集と選定をしてくれるらしい。
今日と明日で準備を整えて探索は明後日の朝から始める事となった。
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