閑話 ダンジョンマスター
―― ピーッピーッ!
プレイヤーによる初の魔法行使が確認されました。
『シークレットミッション:最初に魔法を使おう。』がクリアされました。
ワールドクエスト『精霊樹の復活』進行フラグがアンロックされました。
―― プレイヤーによる自力での魔法行使が確認されました。
これによりワールドクエスト『精霊樹の復活』が進行します。
ワールドエリア『ルーダン魔王国』が開放されました。
―― ワールドエリアボスが出現しました。
『ルーダン魔王国』へのルートが開放されます。
開発ルームの監視モニターにはアラームが表示され、次々とログが流れる。
「ちょっと、なんでこんなに早くワールドクエストが進行してるのよ!?」
一息つこうとした途端のアラームに開発室が騒然となった。
「チーフ、落ち着いてください。しかし、魔法行使が先にクリアされるのは予想外でしたね」
「ああ、シークレットミッションではあるし順序的にはクリアできてもルーダン魔王国に入ってからの予定だったんだが……」
「けど……、困りましたね。まだホントの意味での完全新規プレイヤーの受け入れ開始していないのにワールドクエストの進行が早すぎます」
「ワールドクエストは東と西の二つ、まあ、東の方へのワールドクエストは始まってないから良しとして、進行が早まった分の予定を建て直さないといけないわね。とりあえず、緊急で会議室押さえてくれる?」
「やっぱりそうなりますよねぇ。わかりました、ついでに何か食べるものも用意しておきます」
◆ ◇ ◆
「開発リソースを外注するんですか?」
開発メンバーはあからさまに嫌な顔をしている。
「外注、まあ、外注と言えば外注だけど、あのプロジェクト、結局開発が止まってるでしょ?」
チーフの言葉に不満を口にしていた開発メンバーも押し黙る。
「どっちにしろ、結局、一箇所しか確保できていない時点で任せられる相手も限られてるわけだしー、まぁ、受けてくれるかは相手次第だから置いときましょう」
「それでは、次に完全新規プレイヤーの受け入れの件ですが――」
◆ ◇ ◆
ボクは運営からの連絡を受け、開発チームのチーフさんと通話を行っていた。
アンメモログイン前のロビーはいわばプライベートスペースになっており、会議等にも使用できたりするのだ。
「ふえっ?! ダンジョンの管理わん? って、あのローグ系ダンジョンのことで良いわん?」
「ええ、貴方の国にある『Unmemory Dungeon』です。あれねぇ、正式サービスでの目玉の一つにしようとしてたんですけど、あれ以外のダンジョンの管理権が手に入ってないのよ」
通信先のチーフさんが眉根を寄せる。
「ダンジョンの管理権ってダンジョンマスターのことだと思うけど、運営さんが管理権持ってなくて大丈夫?」
しかし、管理権が一つしかない上に管理権手放すってどうなんだろう。
「まぁ、ここだけの話にして欲しいんだけど、運営と言っても色々チームやら権限が異なっているのよ。アンメモ世界自体の管理は本社のそれこそコアチームが担当していてこっちはその上での表層的な管理が担当ってわけ」
「そうなんだ。運営さんも色々大変わん。ともかく、話は受けるわん。せっかくのダンジョンが入れないのも困るし、なによりダンジョンの調整は面白そうだわん」
「ありがとうございます。いや、断られたらどうしようかと思ってたんですよ。あ、調整内容とかはフィードバックしてもらえれば他のダンジョンを用意する時にも反映させますのでよろしくお願いします」
チーフさんがホッとしたように手元の何かを操作した。
―― 夢限迷宮ダンジョンマスターに就任しました
―― スキル『ダンジョンマスター』を取得しました。
スキル『ダンジョンマスター』はゴヲ溗ダ桀『
「えっ?」
なんだかバグった??
「あ、ごめんねびっくりしたでしょう。ダンジョンマスターへの就任と『ダンジョン管理』スキル取得ができたと思うけどどうかな?」
「えーと、ダンジョンマスターには就任したみたいわん。スキルの方は……」
「スキル取得ができていればシステムメニューにダンジョン管理の項目が追加されてるはずなので確認してもらえるかな?」
「そうなんだ。それじゃあ、ダンジョン、ダンジョン管理メニューっと」
声に反応して半透明のメニューが開く。
―― ダンジョン管理メニュー(ホーム)
* 明るさを変える
* テレビをつける
* アラーム設定
「うん、ダンジョン管理メニューはちゃんと出るわん」
便利そうな機能が表示されている。
「ちゃんと追加されたようね。それではダンジョンのことは任せたわ。あ、別に配信の制限もないから好きに使っていいわよ」
「わかったわん。じゃあ、ダンジョンマスターとして頑張るわん」
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