第七回 レッツ・冒険! 日曜日の爽やかなる午前の風。
――今日から始まる、ウチとミズキちゃんのRPGのような二人の冒険。
装備の品々をまとめたリュック。リュックの色は青色と、……桃色? ミズキちゃんは青色のリュックを背負う。するとウチが「桃色のリュック?」と声にした。
「そうだよ、ママが選んでくれたから、きっと似合うよ」
と弾むミズキちゃんの声。笑みを浮かべるミズキちゃんのママ。でも、ウチの言いたいことはそうじゃなくて……「文句ある?」と囁く程の声。でもギロッと睨むママ……
「……ありません」
そう答えると、ケロッと笑みを浮かべ「よろしい」とママ、ミズキちゃんのママ。この日を境にウチの中では、お母さんからママになった。ミズキちゃんのママ。
「じゃあ、レッツ・出発!」
とミズキちゃんの掛け声により、その時を迎えた。サトちゃんを求めて、とある旧校舎の探索に。ミズキちゃん曰く、サトちゃんとの思い出の場所だそうだ。小学生の時にクラスが一緒。そしてミズキちゃんが小学生の頃にいた場所だ。……でも今はもう廃校。
まずは手懸り……
でも、どうして旧校舎? しかも廃校となった小学校に? それなら今まで散々、ミズキちゃんが探索していたと思われるのだけど、それでもまだ捜す? どうして……
「私は諦めない。見えるものすべてじゃないから」
と、ミズキちゃんは言う。探索に似合うようにとカーキー色の作業服のような長袖と半ズボン。靴も頑丈なもの。お揃いだ。リュックの色で識別。青とピンク。この色彩こそが属性を表すなんて、この時は知る由もなかった。寧ろ知ったならば、もう後に……
「そうだね、ウチらは進む。進めば二つ手に入るから」
「ン? それって? 今流行りの某ロボットアニメの」
「ううん、パパが言ってたんだ。キャンプに言った時に。ウチを勇気づけるために」
ウチは思い出しかけた、一瞬でも。あの日パパが言っていたことと、その意味も。
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