第三回 レッツ・必殺技。すべてはポジティブに入手だ。


 ――砂塵が舞う。地面を滑るミズキちゃん。巨人の攻撃を一方的に受けている。



「大丈夫?」と、ウチは寄り添う。ミズキちゃんの傍へ。


「逃げて。私が引き付けてるから」と気丈にも……その言葉とは裏腹に、震えているミズキちゃんの身体。ウチは、ただ涙を零すばかり、泣くばかりで何も、何も……


「ごめんね、頼りなくて。でも守るから、君だけは」と、ミズキちゃんは笑みを見せ、ウチを励ましてくれる。泣きたいのはミズキちゃんも同じだと思えた。その笑みの裏側に感じた。ウチは男の子なのに、女の子に守られている。庇うように、ウチの身体を包んでいた。巨人には背を向けて……それでも、容赦なく巨人は大きな手を振り翳した。


「クッ」と、ミズキちゃんの目尻に涙が見えた時――


 ウチは左手を巨人の前に向けた。その瞬間だ。これまで感じたことのない衝撃。それと共に放出した、眩き光。青い閃光が、ウチの手の平から放たれた瞬間だったの。


 何これ?


 そんな思いを遥かに超え、立ちはだかっていた巨人はもう、姿が消えていた。


 消滅したのか、或いは逃げたのか、瞬間のことだったので、よくわからないけど、もうそこにはいなかったのだ。そして淀んだ風景も、スッキリ変わったような気がした。


「君、何したの?」と、ミズキちゃんは問う。


「わかんない……」と、ウチは答える。その通りのことだから。


「兎も角ありがと。

 ねえ、良かったら一緒に来ない? 私のお婆ちゃんのお家に」


「どうして? 初めて会ったばかりなのに?」と、警戒するも。


「君、行く当てある? それに、さっきの奴みたいなのが襲ってくるかもしれないから」


「ミズキちゃん、君は一体……」


「言ったでしょ、マジカルエンジェルだって。それに君は、私を助けてくれたから」


 と、ミズキちゃんは言うけど、あの時ウチの身体に……何が起こったのだろう?



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