第11話

 耕三の落ちた床パネルが元に戻る。

「では、ゲームを再開いたしましょうか。次の番は光様ですね」

 4人の視線が光に注がれる。

「いやああああぁ!私は死にたくない!」

 光は絶叫し、スタート地点から逃亡する。

 ドアへ向かってまっしぐら。

 ドアの前へたどり着き、ドアノブを回すが、ドアは開かなかった。

「逃げることは叶いません。誰かがゴールするまで、この人生すごろくゲームは終わりませんので。要はゴールすれば良いんです」

 光は主催者のその言葉を受けて、心を決めたようだ。

「ゴールすれば、出られる?」

「はい」

「わかった」

 光はスタート地点へと戻り、覚悟を決め、サイコロを手に取り振った。

 出目は5。

 4人は絶句した。

「ああ、詰んだ」

 絶望。

「では、マスへお進み下さい」

 光はとぼとぼとと、マスへ進んで行く。

 5マス目へたどり着く。

 光は目を瞑(つぶ)った。

 誰もがまた、と思った。しかし、数分しても何も起こらなかった。

 4人はとまどった。

「では、純子さん行きましょうか」

 主催者以外は皆、ポカンとしている。状況が飲み込めていないのだ。

「どう言うことなの?」

「ああ、そうでした。マス目の罠はランダムで移動するんですよ」

 つまり、光は命拾いしたのだ。

 光はへたり込んで、泣き始めた。

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