第14話 作戦指令4、反撃の狼煙を上げろ!
「後ろの市街地まで走れ!! この日のために地雷を設置した!!」
『
『
「了解」
あと男子高校生の夜よ、ちゃっかり俺から離れるんじゃない。
お前のモニターが見えないではないか。
ふふっ、俺の作戦はまだこれだけではない。
アネラさんが慢心してアボガドさんに近づいたらが最後……。
『アボガド?』
しまった!!
アネラさんの世界にアボガドは存在しなかった!!
俺らが撤退したのを見計らって近寄ってきた彼女は、倒れたアボガドさんの
またやらかしてしまった……これじゃ
いや、落ち着け! 瞬!
男子高校生の夜も言ってたじゃないか。まだ慌てる時ではないと。
市街地まで撤退したら、ビルの中で隠れながら長生き蝉さんとアボガドさんの復活を待つことができる。
砂漠に
恐る恐る足取りで、俺は一番ボロいビルに入って、エレベーターで20階まで上がった。
ここなら
なぜ砂漠にあるボロいビルのエレベーターが動くのかは俺も最初首を傾げたものだ。
運営を責めても意味はない。
むしろ今の俺にとっては好都合だ。
ここなら狙撃もできる。
しかも運が良ければ、姫大佐が地雷を踏んでくれたりして。
『
『
よし、長生き蝉さんとアボガドさんも復活したな。
決め台詞と共に復活する。
これこそ
「そのまま市街地へ走れ! 俺が陣取っている! 姫大佐が追ってきたら俺が狙撃する!」
『
『
なんだと……?
『
そうか……。
そういうことだったのか……。
市街地で待ち伏せしているのは何も俺だけではない。
スコープで眺めていたら、まさか復活した瞬間、長生き蝉さんの頭はドブの弾丸によって弾け飛ばされた。
血しぶきの方向からドブもこの市街地のどこかのビルの上にいるのが分かる。
だが、それは仕方ない。
俺の戦略ミスだ。
でも、お前は違う!!
アボガド!!
なぜ俺の地雷を踏んで爆発してんだよ!!
昨日ちゃんと位置を共有してんじゃないか!!
いや、今はそんなことより、チェプチャの方が大事だ。
チェプチャはどこだ? チェプチャの位置だけが分からない。
あっ、これは俺のお腹が空いたとかじゃないよ。
あれか?
斜め前方50
いや、違うな。
そんな下手な撃ち方は真似できるもんじゃない。
世界ランカーのチェプチャにできないことがあるとすればそんな
やつは哀れだ。
この日の決戦は掲示板で話題になっている。
そんなところでのんびりと撃ち方の練習をしていては、戦争の巻き添えを食らってしまう。
やつは姫大佐の嗜虐心を満たす格好の標的だ。
それを知らずにここでチュートリアルする
ユーザー名も違うしね。
ちなみにやつの
まあ、鳥の銃あたりの意味だろう。
俺の方がよほどその名にふさわしい。
現にこうして
あれ?
そいつの後ろに誰かいないか?
「くっ
『
『
「トイレは玄関の隣だ」
違う!!
トイレの場所を聞いてんじゃない!!
あと復活待ち時間を増やしてるやつらが一丁前に返事以下略。
時間がないから、仲間割れする場合ではない。
チェプチャだ!!
やつが
「逃げろ!!」
『
『
「了解」
えぇ!!
この期に及んでも世界ランカーの
まさかあの
やるな!! チェプチャァァア!!
ユーザー名、ハンドルネーム、プレイヤー名を使い分けるほどの語彙力を持つ俺でもその作戦は見抜けなかった……。
お前の勝ちだ。姫大佐。
『しゅん! 見つけました!』
あれ?
なぜ姫大佐が俺の後ろに?
なぜ無駄に豪華なピンクのドレスが廃墟を彩っている?
振り向くと、そこには姫大佐の姿があった。
モニターに気を取られて、スマホでアネラさんの行動を見ていなかった隙に、彼女はこのボロいビルに潜入してこうして俺の後ろで銃を構えている。
誰だ!!
廃墟のビルのエレベーターを動かせるようにしたのは!?
『新発売の焼肉味のポテチを買ってくれたら見逃してさしあげます!』
だーかーら、カメラを見てニヤついてんじゃない!!
なにちょっとヨダレを垂らしてるんだ、この廃スペック腹ぺこお姫様は。
俺のお小遣いは貴女のおかげでほんとにお『小』遣いになったの気づいてないのか。
しかも、戦場で取引を持ち込むんじゃない。
それは
そもそもなにその焼肉味のポテチは?
いっぺんに二つの美味を貪ろうとするな。
そんなポテチが発売されるなんて情報は俺でも持ってないぞ?
どんだけ食い意地張ってんだよ……。
「チェックメイトだ」
あれ?
なぜ男子高校生の夜は姫大佐の後ろにいる?
チャットでアネラさんとやり取りしている間に、気づいたら男子高校生の夜は銃口を姫大佐の頭に突きつけている。
そういえば、さっきから見かけなかったな。
まさか、ずっとこれを狙っていたのか、男子高校生の夜!
「終わりだ」
いや、チェックメイトと同じ意味だから、それ。
男子高校生の夜の二度目の宣告によって、彼の拳銃から漆黒の弾丸が無情にも放たれた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます