第3話 Education/ 導き

   3.Education/ 導き


 ボクはどんなことがあっても、学校だけは休まなかった。イジメ、嫌がらせ、それがあっても家にいるよりマシ……と思っていたからだ。

 しかしいつもみすぼらしく、汚らしい恰好をしたボクは卑しめられ、友達なんていない。

 両親が亡くなったときでさえ、ボクに声をかけてくる人もいなかった。

 教師とて、児相への通報、介入があったのに保護もされなかったボクに、今や見て見ぬふり。

 そんなボクに唯一話しかけてくるのは、学級委員長だけである。

「伊久見君。今日はどうしたの?」

 正義感にあふれ、ボクにも気をつかってくれる。荒木 汀奈――。メガネをかけた真面目な、優等生タイプだ。

 自分のいるクラスで、イジメや仲間外れを赦さない。クラスの皆も彼女のすることだから……と、遠巻きにする。

「どうした……って?」

「何か……今日は服がきれいだから」

「あぁ、両親が亡くなって、バタバタしていたけれど、やっと少し落ち着いてきたから……」

 彼女に嘘をつくのは気が引けるけれど、ボクもまだどう説明していいか、自分でも分からなかった。家に、メイドがいるなんて……。


 メイド――。異世界からやってきた鎧であり、この世界では大人の女性となる彼女が今、生活全般に口をだしてくる。炊事、洗濯、掃除といった家事全般も優秀だけれど、それ以上に箸のもち方、姿勢、歩き方といった生活全般の立ち居振る舞い、所作にまで口をだす。

 汚れた服ででかけるなんて、とんでもないこと。コーディネイトされたお陰で、荒木にも疑われた。

 髪型も最新のトレンドをおさえた無造作ヘアにセットされ、まだ早いというボクの制止をふりきって、香水もふりかけられた。

 料理の腕も完璧で、おいしくて栄養のバランスまで考慮して、三食きっちりだしてくれる。

 ボクも夕飯をとりながら、彼女に質問をぶつけてみる。

「異世界は、並行世界って言っていたけれど……」

「どこで線を違えたか……までは分かりません。でも言語、文化はほとんど同じなので世界線はかつて同じだったと考えて間違いありません。ただFK2179では魔族がおり、そのころから人間も魔法をつかえるようになりました。

 そして荒廃し、今や人々は滅びに瀕し、勇者の誕生を強く望んでいます」

「なぜ、ボクが択ばれたの?」

「それは分かりません。デルフォイ宮殿の御神託に、この世界の座標軸と、あなたの名が浮かんだのです。伊久見 典が勇者の子種をもつ、と……」

「じゃあ、何でグランシールが迎えに?」

「私は魔法具です。勇者を守るためにつくられ、人格を与えられました。こちらの世界では人の姿をとる……とは驚きでしたが、私は私に与えられた使命を果たす、それだけです」

 決意、覚悟は本物のようだ。

「ボクは異世界と、行ったり来たりするの?」

「あちらにいられる時間はあまり長くないようです。本当はずっといて欲しいのですが、こればかりは仕方ありません」

 そこには運命の強制力やら、何だか難しい理屈があるようだ。ちなみに、異世界は科学にすぐれており、こちらの世界を凌駕するらしい。ただ魔法があるため、技術は進展せず、魔法で解決する風潮ができたそうだ。

 そうしてグランシールも、魔法具として生みだされたらしい。

「さ、約束通りはじめますよ」

 ボクが食事を終えたところで、グランシールは立ち上がった。ボクは憂鬱……というか、気持ちが奮い立たなかったけれど、一部だけはすでに立ち上がっていた。


 エッチが下手……。それでは正しく勇者の子種をさずけることができない、としてグランシールによるエッチ講義がはじまった。

 寝室に入ると、徐にグランシールはメイド服を脱ぎ去った。

 大人の女性――。アルティオーラの胸も大きいと思ったけれど、彼女のそれはレベチだった。

「まずはキスをしてみて下さい」

 背の高さがちがうので彼女がベッドに腰をかけ、目をつぶった。ムードも何もないけれど、これは講義だと考えて、彼女の肩をつかんで唇を重ねた。

「全然ダメです!」

 唇を放すと、彼女はビシッとダメだししてくる。

「唇とは数少ない、粘膜が外に露出した部位です。ですが、やはり常に表にでている部分は、それほど感度がよくありません。感度が高いのは、口の内部にある締めり気の強いところです。ですから、もっと互いにめくれ上がるぐらいに深く、激しくキスすることで気持ちが盛り上がります。

 ただし、強くし過ぎるとどちらか、または両者に痛みがでますがから、その加減を見極めて下さい。また相手が初めてのときは、最初は優しく……」

 グランシールは理論的で、実践もついてくる。彼女からするキスは、情熱的で官能的だった。


「胸をさわってみましょう。胸は全体が敏感……というわけではありません。この先端と、その周りは敏感ですが、いきなりそこを責めるのは推奨しません。いきなりだと、ハッとして身構えてしまうからです。

 まずは周りから、ゆっくりと責めて下さい。そう……、男の人も揉むのが好きなのでしょう?」

 恥ずかしい指摘をされ、ボクも手の平で包むようにして、ゆっくりと回す。最初は中心にふれないように、周りを丁寧に刺激していく。

 アルティのそれは硬くて張りのある、中身がつまっている感じだったけれど、グランシールのそれは、またちがった弾力だ。押すと向こうからこちらの指を包んでくるので、フィット感がいい。

 乳輪はやや大きめだけれど、それは面積の比率であって、ボクはやっとその先端に辿りついた。

「そこは指の腹で、優しくさするように……。そうそう、上手いです。そのまま先端に移して……、そこは女性が乗り気であるなら、もう敏感ですから、優しく責めて下さい。でも、まだ女性に盛り上がりが欠けているなら、強く責めてもよいです。つまんだり、引っ張ったり、歯で噛むなどしてもいいですね。痛くするのではなく、強い刺激を与える感じで……」

 グランシールのそれはもう敏感になっているようで、指の腹で優しくその周りを摩り、ぐりぐりと動かすだけで表情が揺れ動くのが分かった。


「では、下から覗いてみて下さい」

 アルティのそれも見たけれど、グランシールのそれはまたちがって見えた。

「女性の形も様々です。できることなら、指で最初に責めて準備を高めてあげて下さい。では、やってみましょう」

 彼女は自ら手で導いて「ここに手をあてて、ここに指を入れて……」と、ボクを促してくる。

「もっと奥まで……。もう少し……。そうそこです。あッ……そこをゆっくりと摩るように、転がして……」

 刺激を与えると、彼女はそのたびに体をぴくん、ぴくんと震わせる。これまでは授業をするように、淡々とすすめてきた彼女が、顕著に体を震わすほどの反応をみせている。

 異世界では鎧だとしても、ここでは女性だ。いくらボクの教育係といっても、ふれられたら感じるし、反応もする。

 当たり前のことだけれど、改めて気づかされた。そんな女性らしさに、ボクの破裂しそうになっていたあそこが、もう辛抱堪らなくなってきた。

「い、入れていいかな?」

「あ、あなたの子種は大切にしないと……」

 グランシールは拒否しようとするが「でも、どうせもう出ちゃう……」と、ボクは指を入れていたそこに、ボクのそれを挿し入れる。

 動かすまでもなく、ボクの中から彼女へと、溜まっていたマグマは移っていった。

「ダメですね……。頑張って堪えないと……」

 グランシールはそうダメだしをするけれど、ボクはすんなり入ったことの方に驚いていた。

 アルティとの初めてのときは、ボクも痛かったからだ。グランシールもそれに気づいたのか「私の中が、潤滑液で満たされていたから、すんなり入ったのです。女の子を感じさせて、気持ちよくさせればこの潤滑液がでて、アナタも気持ちよくなれるのです」

 確かに彼女の中はぬるっとしていて、それがボクを優しく導いてくれたようだ。

 ボクの脈打っていたそれから、すべてが彼女へ流れこんだことを感じ、グランシールは「さ、無駄遣いはやめて、抜いて下さい。後はこれから向かう異世界でつかって下さい」

「え? 今から行くの?」

「行けるときには行って、一秒でも長く子づくりをしてもらわないと……」

 そういうと、グランシールは抜いてすぐにも関わらず、ボクの手をつかんでつかつかと歩きだす。そのまま寝室の扉を開けると、そこは光に包まれており、ボクはまた異世界へと飛んでいた。


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