第50話 三人のほのぼのとした日常・・・③
しかし、勢いのみでそんなことをしてしまったためか、この空間に謎の沈黙の時間が流れてしまう。
まるで俺一人が空気を読まず、舞い上がっているかのようである。
「ん?何?どうしたの?」
すると、場の空気をこんなことにしてしまった張本人であるあゆみが、そんなことを首をかしげながらつぶやいてきた。
「ん?どうしたって言われても…まだ夜も長いんだから。今からゲームでもして遊ぼうかな~と」
「はぁ!?何言ってんのよ。勉強はどうしたの勉強は!?」
そして、本心としてはただ遊びたいだけの俺はそんなことをつぶやくと、あゆみはそんな俺に対し、さぞ当たり前かのようにそんなことをつぶやき始める。
「はぁ!?お前こそ何言ってんだよ?まだテスト期間でもないのに何が悲しゅうて夜になってまでも勉強しなきゃならんのだ!もっと夜というものを楽しもうぜ」
「なんでよ!今日は学校でほとんど勉強できなかったんだから、今くらいは勉強しないとだめじゃない!」
「…あのなぁ、今日に関してはなんでなのかは言わないでおいてやるが、勉強できなかったのはお前自身のせいじゃねぇかよ。一時間以上もロッカーの中に引きこもっていたのはどこの誰だったっけかな~」
「ま、まぁ…そうだけど…」
俺はいろいろ言ってくるあゆみに対し、多少皮肉を込めながら今日のことをつぶやいてみると、あゆみはすぐに静かになった。
実際、今日の俺とあゆみの行動は無駄でしかなかったと言えるだろう。
「よ~し、あかりさん。今からゲームしない?俺今はまってるゲームがあるんだよね~」
そして俺は静かになったあゆみを差し置いて、あかりにそう言ってゲームへと誘う。
「へ?いいの?もう夜も遅いし、迷惑なんじゃ…」
すると、あかりは俺の予想とは対照的に、自分のことではなく逆に俺たちの方の心配をしてくる。
「いやいや、それは俺のセリフだろ。俺の家に引き留めて迷惑かけてしまうのは俺の方だ。今だってあかりさんの親が家にいないからっていうちょっとした悪戯心で言ってみてるだけなんだ。もう夜も遅いし、帰りたいなら別に止めはしないぞ」
実際、今は夜も遅くなって時刻はもう夜9時である。
正直、昨日までだったら9時どころか8時の内にはあかりを家へと送っていった方がいいと考えていたが、今日の話を聞いて、別に俺の家にいてもいいんじゃねと思うようになった。
それはあかりがそれでいいという場合には限られるのだが、正直夜遅くに家に一人でいるくらいなら、俺の家にいた方がいいんじゃないかという俺の主観が多く混じった意見である。
まぁ、男のいる部屋に夜遅くまでいるのもどうかとも思いはするのだが…
「い、いや、それならもうちょっとここにいさせてもらおうかな…」
すると、そんな俺の提案に、あかりは少し申し訳なさそうにそう答えてきた。
あかりは結局迷惑かなとでも考えているのだろうが、逆に俺からすれば、あかりが帰ったとしても結局あゆみはこの部屋にいるため、正直いてくれた方がいいような気がする。
「よ~し、これで二対一だ。あゆみ、これからゲームの時間が始まるぞ!」
「何言ってんのよ。あかりさんはここにいるって言っただけで、ゲームするなんて一言も言ってないじゃない。…って、ちょっと、何一人で勝手にゲームの準備始めてんのよ!」
俺はあかりの返事を聞いた瞬間、さっそくテレビ台の下からゲーム機を取り出し、有無を言わせずゲームを始める。
友達と一緒にゲーム、何と青春を感じさせるような響きであろうか。
今までぼっちだった俺からすれば夢のようである。
これから俺の人生初のCPUではなく、友達との対戦ゲームが始まるのだ。
正直、遊ぼうぜと言ったのは、場の空気を変えくて言った発言だったが、うまくいったようでなによりである。
「よ~し二人とも、はいこれコントローラー。いつか友達ができて使うかもしれないと夢見て買った新品だ。贅沢に使ってくれ」
「そ、そう…また何とも、贅沢な一品ね…」
二人はなんとも言えないような顔でコントローラーを受け取ると、俺の意思を組んでくれ、3人でテレビの前に座る。
「ったく、明日はちゃんと勉強に付き合いなさいよね」
「さぁ~、それはどうかな~。じゃあ、このゲームで俺に勝ったら素直に付き合ってやるよ」
「あ、言ったわね。覚悟なさい、絶対に勝ってやるんだから」
すると、あゆみは俺の挑発に乗ってくれ、そんなことを言っているが、俺は負けるつもりなどさらさらない。
これは今まで、俺が長い間CPUと闘ってきた経験を今発揮するときなのだ。
そして俺は二人にこんなことを言いながら、ゲームを始める。
「よ~しあかりさん、協力プレイだ!今二人であゆみをボコボコにしたら明日はずっと遊べるぞ!!」
「ちょ、何言って…!!」
そんな発言で始まった俺たちのゲーム時間は、これから夜中ごろまで続くのだった。
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