54.ヨシムラの大切な友達

「いい? そもそも私の考えでは未来なんてものは存在しないと思うのよん♪」


 存在しない……?


「もし、“時間移動で行ける未来”なんてものがあるのだとしたら、既に確定された歴史が出来上がっているいることになるよん♪

だから、未来に行く唯一の方法っていうのは、こうやって私達が現在を生きていくしか方法はないと思うのん♪

仮に未来に行ける道具が開発されたとしても、それは“歴史が確定された世界の未来”における“過去”に飛んだだけだと思うのん♪」


 ヨシムラの説明は分かりにくかったが、要するに未来に行って確認する方法は取れないということだろう。

 だとしたらやはり、ヨシムラを信じるしかないのだろうか……。


「2人共! そんなに悲しい顔しなくていいよん♪

私の見解が外れた場合、犠牲になるのは私と……えーと、私だけなんだからねん♪」


 ヨシムラは照れながら頭をかいた。

 緊張感というものが無い。


「っていうか……えーとって、なんですか?」

「え? いやいやいやいや! なんでもないよん♪」


 気になる。

 もしや、地球人はヨシムラだけではないというのか?


「いやね……私のも大切な友達がこの惑星にいてねん、その子を悲しませてしまうのではないか? という意味だよん♪」

「私達とは別にですか?」

「うん♪ 秘密にして欲しいんだけど、アオリちゃんっていう子だよん♪」

「え!?」


 アオリと言えば……SRランク冒険者のアオリだ。


「アオリンと友達だったんですか!?」


 ユリも驚いたようで、思わず大声を出していた。


「うんうん♪ そうだよん♪ 配信という行為についてのアイデアを出したのも、私だよん♪」

「そうだったんですか!?」

「そ♪ アオリちゃんの能力が便利でね♪ たまに研究を手伝って貰っているんだよん♪

アイデア量として、ファンから受け取った金銭の8割は私が貰ってるけどねん♪」


 まさか、こんな所で繋がりがあったとは……。


「って言っても、私の素性に関しては全然話してないんだけどねん♪

それでもアオリちゃんも大切な友達だよん♪ ほら、私、友達を大切にするタイプだから!」


「そうだったんですね……」


 もしかすると、アオリン☆ミラーも、アオリの能力のみでの作成ではなく、ヨシムラの改造が施されている可能性も高そうだ。


「ま、でも大丈夫よん♪ 君達、もし私が消えたら、アオリちゃんによろしくねん♪

きっと、アオリちゃん悲しむと思うからねん……」


「分かりました」


 どのくらいの仲なのかは分からないが、コスモはヨシムラの願いを受け止めるのであった。

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