第3話「品詞の種類を見てみよう」
・品詞を理解することの大切さ(読み飛ばしてもOK)
古文では、現代文と同様に全ての文は品詞からなり、品詞の意味を詳しく見ることで、文全体の意味が掴めるようになります。例えば、次の現代語の文章を見てみましょう。
例文
私は昨日、店でバターチキンカレーを食べた。
単語区切り
知識
・「私」は一人称を表す ・「は」は前の名詞が主語になることを表す
・「昨日」は今日より一日前の日を表す ・「店」は物を売っている場所を表す
・「で」は場所を表す格助詞 ・バターチキンカレーは料理の一種である
・「を」は直前の名詞が直後の動詞の目的となることを表す
・「食べ」は「食べる」の連用形であり、物を口に入れて、噛み、飲み込むことを意味する
・「た」は過去を表す助動詞である。
ここで、聞きなれない単語が出てきました。格助詞です。格助詞というのは、直前の名詞とくっついて、その名詞の文章における役割を決定する助詞のことです。
この説明だけだとわかりにくいので、わかりやすい例を出しましょう。
私親スマホ買う
上の文章はある文章から格助詞を除いた物です。さて、文意が読み取れるでしょうか。読み取れませんね。例えば、私に親がスマホを買う、でも上の文章になりますし、私が親にスマホを買う、でも上の文章のようになりますね。
また、私「は」のように直前の名詞を主語にする格助詞を主格を表す助詞などと言います。
つまり、格助詞というのは文章にある名詞がどのように機能するかを示す、とても重要な単語なのです。
詳しく知りたい人は、自身で格、や格文法で調べてみてください。
少々話が脱線してしまいました。
さて、我々は、単語で区切ることと、知識によって、我々はさまざまな言語の文意を読み取っています。
ただし、ここで注意しておきたいのが、我々は日本語に慣れ親しんでいるので、もはや単語区切りはしていないということです。それよりも大きい文節単位で区切っていることでしょう。あるいは、それよりももっと大きな区切りかもしれませんが。
しかし、文を最小単位に分解するということは、不慣れな言語であれば、大きな効力を発揮します。例えば、ある程度の知識があれば文章の大意を掴むことができます。
例えば、次のような文章があるとします。
古文をあまり学習していなければ、この文を一目で理解することは
ほとんどの場合できないでしょう。そこで、文を単語に分解するのです。
これにより、幾らかの知識を持っていればこの文章の大意を掴むことができます。ここで、文章から重要な部分を抽出してみましょう。この時の「の」は主格を表す助詞であるので、その直後の名詞がこの文章で重要な役割を示しそうであることがわかります。このように考えていくと、この文章のメインは次のように抽出されます。
入道殿の、大堰川に、逍遙せ、作文の船、管弦の船、和歌の船、と、分かた
これを訳して繋げると、
入道殿は大堰川で行楽する。漢文の船、音楽の船、和歌の船と分ける。
というようになります。
結局、上の文章をしっかり目に訳してみると、
ある年に、入道殿(=藤原道長)が大堰川で行楽しなさっていて、(三つの船を)漢文の船、音楽の船、和歌の船にお分けになって、
という意味になっていて、大意は十分意味を取れていることがわかります。
ですから、早く文章を読むことを求められているときは、単語分解、格助詞に注目、文意の抽出という三段階を済ませれば大意は理解できます。
ただし、おおまかな読み取りだけではどうにもならない時もあり、そういう時のために、これから勉強していきましょう。
・品詞の種類
約1600文字の前置きから、文章を読むときには、単語に分解することが重要であることがなんとなくわかったと思います。そこで、今回は単語の文法的な分別を行います。
まず、単語というものはそもそもなんのことでしょうか。これは文章を構成する意味のある最小単位のことです。
意味のあるというのは、例えば、私はりんごを食べる。という文章において、「りんご」というのは単語ですが、「りん」と「ご」というのは単語ではありません。
なぜなら、「りん」と「ご」というのは由来としては「りんご」を構成するには不可欠な要素ですが、その由来はこの文章には関係ないからです。
いうならば、英語でcompanyという単語をcomとpanの語根に分解して、単語だと言い張るようなものです。確かに語根に分解するというのは有用なことではありますがね。
さて、この単語はその機能や特性によってさまざまな名前がついています。これを覚えることで、品詞を分解することができます。
まず、品詞を分ける上で最も粗い方法は、自立語と付属語に分類することです。
自立語というのは、名詞や動詞など、それ自体が意味を持つもので、付属語というのは助詞、助動詞しかなく、名詞、動詞にくっついて初めて意味を持つ単語です。
以下の文章を単語に区切って自立語と付属語に分けてみましょう。
谷々の氷打ち解けて水は折節増さりたり
また、自立語とその次の自立語までの付属語のセットを文節と呼びます。例えば、「谷々の」は「の」の次が自立語であるため文節です。
この分割により単語は大きく二つに分けられました。では、次はどのように分ければよいでしょうか。次の区分は活用が鍵になります。
活用というのは、例えば、「遊ぶ」という動詞は下に「ない」がつくと「遊ば」に変化します。決して、「遊ぶない」などにはなりません。このように、下の単語によって動詞の形が変化することを活用すると言います。
この活用する/しないによって単語はまた二つに分けられます。これと先ほどの自立語/付属語の分割を合わせることで、単語を4グループに分けられました。
ここで付属語の分類は完成しました。付属語で、活用するものを助動詞と言い、主に動詞、名詞に意味を添えます。例えば、「たり」、「べし」などがここに当てはまります。
付属語で、活用しないものを助詞と言い、さまざまな語に意味を添えます。例えば、「に」「は」「の」「ばや」などがここに含まれます。
自立語はまだ分割できます。自立語で活用するものは用言と言いますが、これは次の三グループに分けられます。
基本形がウ段で終わるもの(例外として、りで終わるものも)を動詞と呼び、主にものの動作、存在、状態、作用を記述します。例えば、「遊ばす(asobasu)」「す(su)」「過ぐ(sugu)」「あり」などがあります。
基本形が「し」、もしくは「じ」で終わるものを形容詞と言い、主にものの状態、性質、人間の感情を記述します。例えば、「うつくし」「かなし」「いとし」「いみじ」などがあります。
基本形が「なり」、もしくは「たり」で終わるものを形容動詞と言い、主にものの状態、性質を記述します。また、たりで終わるものは上に漢語が来ることがほとんどです。例えば、「
今度は自立語で活用のないものを分類していきましょう。ここでもう二段階の分類が行われます。第一の分割は、主語になる/ならないです。これにより、主語になるものは、名詞と代名詞に分けられます。これらをまとめて体言と言います。代名詞は名詞の代用として使えるもの、例えば、「これ」「われ」「なんぢ」などです。
第二の分割は体現でないものに適用される、修飾語になる/ならないです。
修飾語になる場合、体言を修飾する連体詞、用言を修飾する副詞に分けられます。
連体詞は「あらゆる」「天つ」などが、副詞は「をさをさ」「ゆめゆめ」「
修飾語にならない場合、文章と文章を接続する接続詞、文章から独立している感動詞の二つに分けられます。接続詞は「
これらをまとめると次のようになります。
ウ段/り—動詞 ex)「食ふ「あり」
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活用する—基本形—し/じ—形容詞 ex)「白し」「いみじ」
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| なり/たり—形容動詞 ex)「あはれなり」「堂々たり」
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自立語—活用しない—主語になる—名詞、代名詞 ex)「弓」「
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主語にならない—体言修飾語—連体詞 ex)「あらゆる」
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用言修飾語—副詞 ex)「既に」
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修飾しない—独立—感動詞 ex)「あな」
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—文を接続—接続詞 ex)「
付属語—活用する—助動詞 ex)「まじ」
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活用しない—助詞 ex)「だに」
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