第2話「歴史的仮名遣いはピザの味」
今回の題材は、歴史的仮名遣いです。歴史的仮名遣いというのは古来に日本人が使っていた文字の使い方であります。それを、現在の発音の仕方で単語を書き直せるようになるのが今回の目標です。
まず、そもそも、使っている文字の種類が我々より多いです。
我々が今現在使っている、「あ」から「ん」まで46に、や行 に 「い yi」「え ye」が加えられて、わ行に「ゐ wi」「う wu」「ゑ we」が加えられます。と言っても古文の主である平安時代の、その中期にはや行の「い」と「え」、あ行の「い」「え」には区別はなくなってしまったようですが。
では、歴史的仮名遣いについて見ていきましょう。
1、あう、いう、えう、おうについてです。あうを「あ」「う」を同時に発音するような気持ちで発音してみてください。どうでしょうか。何度も繰り返していくうちに「おー」のような発音になるのがわかるでしょうか。
同様に、おうについても「おー」のような発音になることがわかります。すなわちこれらは、「おー」と読みます。
いうも少し早口で発音してみると、「ゆー」のような発音になることがわかります。えうについても、これは少しわかりづらいですが「よー」のようになることがわかります。最終的には覚えますが、このように覚えてみれば覚えやすいかもしれません。
2、む、については半数の語は「ん」と発音します。これはmの音が唇を閉じて発音し、uは唇をすぼめることで発音することから、この動作が崩れることで「ん」のような発音になると考えられます。実際、ま、み、む、め、もの中で一番「ん」に近いのは「む」だと思われます。
しかし、求むなどの「む」はそのまま「む」で発音します。基本的に動詞末尾の「む」はそのまま発音します。助動詞の「む」「らむ」「けむ」などは「ん」「らん」「けん」と発音することが多いです。
3、わ行「ゐ」「う」「ゑ」については「い」「う」「え」と発音します。例えば、植ゑずは「うえず」、ゐるは「いる」と発音します。wの発音が弱くなることによって、このように発音するようになったのではないかなどと考えてみると楽しいです。
4、は行については、文頭につくもの以外はすべてわ行で発音します。私「は」、「へ」行った、などと、現在でもその名残を見ることができます。かひなくは「かいなく」と発音しますし、いふは「いう」と発音します。
5、くゎ、ぐゎは漢語を読む時に日本で用いられてきた発音です。くわを「わ」を弱目にして発音すると、「か」のような発音になります。なので、くゎは「か」と発音します。ぐゎも同様にぐわの「わ」を弱くして発音すると「が」と発音されているように感じられます。中国(漢など)から伝わってきた言葉の「か」「が」はくゎ、ぐゎで書かれることが多いです。「くわ」と発音すると、唇を窄めてから、大きく口を開くことがわかります。これは「か」の発声の時の口の動きに似ています。
例えば、くゎんおん(観音)は「かんのん」と発音します。くゎとは別に、n o nが約まって、no nと発音されています。これを
6、ぢ、づは「じ」、「ず」と発音します。diとzi、duとzuは日本語においてほとんど発音に変わりはありません。江戸時代には発音の区別がつかなくなり、同一視されるようになりました。現在、ぢとじ、づとずは同じ発音で発音されることが多いようです。例えば、あぢきなしは「あじきなし」と発音します。
これらの変化をローマ字を用いて考えてみましょう。
1の変化は
au→ō
iu→yū
eu→yō
ou→ō
2の変化は
mu→nn
3の変化は
wi→i
wu→u
we→e
4の変化は
ha→wa
hi→wi→i
hu→wu→u
he→we→e
ho→wo
5の変化は、
ku(wa)→ka
gu(wa)→ga
6の変化は、
di→zi
du→zu
というように書けます。
この規則に従えばほとんどの単語を発音できます。
てふてふ→tehutehu→teuteu→tyōtyō→ちょうちょう(1、4を用いた)
なんでふ→nanndehu→nanndeu→nanndyō→nannzyō→なんじょう(1、4、6を用いた)
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