ブラックペギーの末路 -3-
パープルスティーブは何十発もわたしたちに向かって放たれました。
そのたび、フレデリック君のブリザガードによって阻まれました。
「すごいですね、長老のブリザガードですと、ひ弱すぎて、このパープルスティーブには突破されてしまうんですよ」
イワオが感心したようにつぶやいています。
フレデリック君は、自称氷の大魔導師です。イワトビーの長老とは比べ物にならない魔力を備えています。
とはいえ、さすがにソニックブームとは威力が違います。
微かにではありますが、ブリザガードの壁面はひび割れていっています。あと何発かくらえば、いずれはブリザガードも突破されてしまうでしょう。
「クッ……はあ、はあ……」
が、どうやらここで試合終了です。パープルスティーブは玉切れのようで、ブラックトビーは視線を地面に落とし、深く肩で息をしています。
ひび割れた氷の壁がパラパラと足元に落ちています。あと一発でもパープルを受けていれば、木っ端みじんに氷の壁は砕け散り、わたしたちが致命傷を負っていたことは間違いないでしょう。
これは?
ひとすじの汗が額から流れ落ちました。認めたくはないですが、冷や汗のようです。
「クッ。もはやここまでか」
「あなたの負けです、ブラックペギー。大人しく降参しなさい」
ブラックペギーの三角の大きなコブは、パープルが底をついたせいか、しおしおとしぼみ小さくなっています。
「かん、ぱい、だ」
ブラックペギーはそのコブに、すべての肥大化した憎しみをつめこみ、その力を増幅させていました。またその憎しみこそが、おのれが生きる目的になっていました。
そのコブがしおれてしまった今、ブラックペギーはまったく何の攻撃も受けていないというのに、力尽きてしまい、雪地に落着するとそのまま倒れ込みました。
コブさえなくなれば、本当にただの真っ黒いカラスそのものです。
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