炎の大魔導師 VS 黒いペンギン -4-
「あまり、この話をよそ者にするのは、はばかられるんじゃんけど、思い切って話すじゃん」
「お願いします」
「ブラックペンギンがまだ子供のうちは、若い衆皆で大事に、かわいがって育てていたじゃん。なにも問題はなかったじゃん。それが、イワトビーの青年なら誰しもが通る ”大人の仲間入り” の儀式に、ブラックペンギンを参加させたときに、思いもよらぬことが起こったんじゃん」
「待ってください。”大人の仲間入り” とは、いったいどんな儀式ですか?」
「我々ペンギンにとって、大人の仲間入りとは、水中を泳ぐことじゃん! ペンギンは、地表ではよちよち歩きしかできず、実にか弱く見えるもの。しかし、ひとたび水中に泳ぎ出れば、スイスイ! スーイスイ! まるで鳥が大空を雄大に羽ばたくかのように、水の中を自由にスイスイ飛ぶように泳ぐんじゃん!」
とたんに、イワトビーAの目が生き生きしてきました。
それに呼応するかのように、BとCの目も、誇らしそうにキラキラしています。
「? しかし、ここは氷山と豪雪ばかりにおおわれたヒョウザリン山。水辺など、どこにもないですよね」
山の入り口から、中腹、頂上まで登ってきましたが、どこにも水辺は見当たりませんでした。
「鬼畜道おばさん、おばさんはまっすぐ、最短の山道を登ってきたじゃんですよね。それなのに、道を横に逸れた先に、他の景色、つまりは水辺が存在する可能性があることを否定するのですか、じゃん」
イワトビーBに言われて、ハッとしました。
そういえば、トビーは登山中、氷に穴をあけて釣り糸を垂らし、ワカサギ釣りをしていました。ワカサギが泳いでいるということは、氷の下には湖があるということ。
うっかり、失念していました。
氷が張ることなく、水辺を保っている場所が存在する。
と考えたほうが、どうやら妥当なようです。
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