炎の大魔導師 VS  黒いペンギン -1-

「ブラックペギーがいるのは、山の頂上じゃん。えらぶるやつは、なんでもてっぺんが好きじゃん」


「頂上の、どのへんですか」


「頂上っていったら、頂上じゃん。行けばわかるじゃんよ」


 ようやく頂上にだどり着きました。


 モアウォームの魔法で身体を包みながら登山したので、あまり寒さは感じませんでしたが、単純に体力がないので疲労しています。


「ここが頂上。いっそう雪が吹雪いていて、あまり前が見えません」


 どちらにしろ、十メートル先の物体は、すべて景色と同化してしまいますが。


 この吹雪の中においては、まともな視力があったとしても、ほとんど意味を成しません。


「鬼畜道おばさん、さすがに、あの黒い三角のコブは見えるじゃん? あれがブラックペギーじゃんよ」


 黒い三角のコブ? いったい、なにを言っているのでしょう。


 黒い三角のコブなんて、そんな小さなもの、この雪の中では、見ることなど敵わないでしょうに…………………ーーーーーー!!!!


「く、黒い、三角の、コブーーーーーーー!?」


 わ、わたしとしたことが、なんとなく少々下品な気がしないでもない単語を、叫んでしまいました。


 確かに、あれは黒い三角! 大きな建物のオブジェとして、または屋根として、備え付けられた建築物のように見えるあの代物が、ブ、ブラックペギーのコブなのですか!?


 あれだけ大きければ、さすがに白一色の景色の中にも、浮いて見えます。


 さらにいうと、三角に尖ったコブ? であるため、雪が積もることなく、サラサラと流れ落ちていっています。


「驚いたじゃん? あれがブラックペギーの一部じゃんよ」


「……だから、頂上までたどり着けば、すぐに居場所はわかる、ということだったのですね」


「そういうことじゃん」

 

 イワトビーたちABCは、険しい表情で黒い三角のコブを睨み上げています。


「ところで、あれは角ではなく、コブなのですか」


「ああ……あれはね、角ではないじゃん。ペンギン族に角は生えないじゃんからね。それに、最初はなかったじゃんよ」


「最初はなかった?」


「そうじゃん。あれは、あいつの、ペギーの、虚栄心が膨れに膨れ育った、黒い巨大なコブじゃん……」

 




 


  




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