炎の大魔導師はそれを揉みたい -1-
見えない目を凝らしながら、前方に進んでいくと、ぼんやりシルエットのフレデリック君が見えてきました。
「ようやく追いつきました。ウォークのレアモンスター交換条件については、後ほどじっくり詰めましょう。本当にフレデリック君もプレイしていて助かり……いつのまに、こんなにプクプクになったんです……あ」
「おばはんかよ」
つかんだ腕は、というか羽は、トビーのものでした。
プクプク、パンパンとしているはずです。子供のフレデリック君も、さすがにここまでは太くありません。本人曰く、標準体型です。
「失礼しました。フレデリック君かと。トビー、突然走り出したりしたら心配しますよ。無事でよか……!」
「白々しいペン! 俺、おまえたちからそんな離れたとこにいたわけじゃないペンよ! ウォークのことしか頭にないガチ勢だってことは、全部聞こえてたペンからな! っざけんなペンよ!」
脂肪の羽に、パシーン!と頭を叩かれてしまいました。ええ、ジャンピング技で。
「重ね重ね失礼しました。しかし、今はそんなことを問題にしているときではありません。フレデリック君はいったどこへ消えたのでしょう。声のする方へ進んできたのですが」
「見てないペン。でも、すぐ近くにいるはずペンよ? 俺も、フレデリックの声は聞こえてたペンから」
「このまま見失っては大変です。わたしの視力は使いものになりませんから、トビー、フレデリック君を探してください」
「チッ。このガリガリおばはんが」
聞こえなかったことにしてあげましょう。そのかわり、あとでボコボコにします。
「ところで、トビーはどうして崩れ落ちた氷山に向かって走り出したのですか。あのような屈辱的な暴言を吐かれて、それでもまだ、仲間を思う気持ちがあったとでも言うのですか」
「……脂肪、脂肪、言ってくるのはミリアも同じだペン」
「脂肪という言葉の裏側に隠れた愛着を、わたしは持っています。トビーをここから追い出したイワトビーたちの暴言とは意味が違います」
「ちょっと、なに言ってるかわからないペン」
フレデリック君がトビーも一緒に連れて行こうと言ったから、こうして、ふてぶてしくもかわいがられているトビーの
もし、フレデリック君に、あのとき拾ってもらえなかったら、魔力もなくなった
そんな末路を容易に想像することができるのに、あいつらは仲間を追放したのです。見殺しにしたのと変わりません。
そんな輩に、慈悲は無用です。
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