氷の大魔導師にお漏らし疑惑が生じたので、炎の大魔導師がお世話をする -7-

「追い出されちゃったの!?」


「そうペン。フレデリック、これからはぼくと一緒にいて欲しいペン」


「そう言われても。どうしよう……」


 フレデリック君はうるうるとした目で、なぜかわたしを見上げている。


 今はわたしがフレデリック君の保護者のようなものだから、わたしの許可がいると思っているのだろうか。


「お願いペン。フレデリックに捨てられたら、路頭に迷うペン。ティア鉱石をあげたペン。あれはぼくの命のようなものだペン。ぼくを拾ってくれないというのなら、あのときのティア鉱石は返して欲しいペン」


「ミリアおばさん……」


 あのときのティア鉱石はとっくに消滅している。フレデリック君の命を救うために使ったのだから。


「いいのではありませんか。イワトビーに一緒に来てもらっても。害を及ぼすようには見えませんし。飼ってもいいですよ」


「いいの? 魔物だよ」


「かまいません。同じ生きものです。違う種族とともに過ごすことで、学ぶこともあります」


 不安そうだったフレデリック君の目は、途端にうるみ始めた。


「よかったね! トビー! これからは一緒だよ! もうさみしい思いはさせないよ! 仲間から追い出されて辛かったね……!」


 驚いたことに、フレデリック君はイワトビー、いえ、トビー? を抱き締めながら、涙を浮かべていた。


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