氷の大魔導師にお漏らし疑惑が生じたので、炎の大魔導師がお世話をする -5-
ロビーもまた、しんと静まり返っている。
そして誰もいない。
ここなら話しても、問題になりません。
「それにしても、いったいどうしたわけでしょう。こんなにずぶ濡れになるなんて」
「ぼくにもわからないんだよ。突然体中から水が溢れ出して、ぽたぽた雫がたれて止まらないんだ。それになんだか寒い」
フレデリック君はブルブルと震えている。
「ひとまず、全部服を脱いでください」
「えっ、えっ!? 全部!?」
「はい。このままでは風邪をひきます。原因になっているものはすべて、払いのけるべきです」
「ちょっと、待ってよ! いやだ! 絶対いやだ!」
「わがままを言ってはいけません。えい」
フレデリック君の服を引っ張る。
フレデリック君は抵抗していますが、五歳の力ではかないませんよ。
「わー! いい加減にしてよ! やめて!」
「そうペン! やめるペン! 嫌がってるのを無理やりしたらいじめだペン! 許さないペン!」
ペン……。
さっきからペンペンいっているのは、誰でしょうか。
フレデリック君の足元にたまっている水たまりが、一箇所に集まりだした。みるみるとある形を形成していき、出来上がったのは氷属性の魔物だった。
「そうぺん! いい加減にするペン! フレデリックをいじめるのは、このイワトビーが許さないペン!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます