番外編Ⅱ フレデリックの年齢 

 そうっと音を立てないように、包み紙を開いて、


 ヒョイ、


 口に放り込む。


 チョコレートの濃厚な甘みと、あふれ出てくるリキュールが絶妙なハーモニーを醸し出す。


 ウィスキーボンボン。やめられない。止まらない。


 フレデリック君に見つからないよう、こうして夜中にこっそり一人で食べている。


 ああ、至福のときです。


「あ! ひどい! 一人だけ勝手になんか食べてる!」


 しまった。フレデリック君が起きてきてしまいました。


「これはウィスキーボンボンと言って……――。中身はウィスキーだけじゃなくて、ときに色んな種類のお酒が入ったりしますが、フレデリック君はどのお酒が好きですか?」


「えー、ぼくの好きなお酒? そうだなあ、いっぱいあるよ。まずはビールでしょう、それからなんと言っても東洋のお酒でしょ、もちろんワインに、ウォッカ、ジン、ラム酒、テキーラ、それから、それから――」


 まず、ビールが入ったウィスキーボンボンなんてありません。


 フレデリック君の実年齢が何歳か知らないですが、おそらくは二十歳以上なのでしょう。わたしと、歳が近いのかもしれませんね。

 

 そして何よりこの子、絶対、大人のときの記憶ありますね。

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