炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -10-

 わたしたちは防御魔法も心得ていない。


 横っ飛びでゲロ水球を避け続けていても、いずれ限界がやってくる。


「ぼくたち、このまま死んじゃうのかな」


「フレデリック君、走って逃げますよ」


「うん!」


 フレデリック君の手を引き、ダンジョン内をひた走る。


 モルダリンマンはペタペタと足音を立てながら、見た目に似合わず快速で追いかけてくる。


「ミリアおばさんだけでも、脱出の札を使って逃げてよ。このままじゃ、二人とも共倒れだよ」


「何を馬鹿なことを。今は助かることだけを考えなさい」


「でも……。足がフラフラで、これ以上走れない」


「えっ」


 大人のわたしはまだ走れるけど、フレデリック君は五歳。体力がない。


「ごめんね、先に行って」


 フレデリック君はその場にしゃがみ込んでしまった。


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