炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -8-

「む、こいつ魔法が効かないのか!」


「ケケッ!」


 むしろ、ほんの少しは与えていた炎のダメージが氷で冷やされて、モルダリンマンはどことなく癒されたような顔さえしている。


「フレデリック君、どうしてここに?」


「あの後、わたしも宿屋を出て散歩していたのだが、近くにダンジョンがあるという掲示板の張り紙を見つけてね。腕試しにやってきたというわけさ!」


「そうでしたか。あのおかみさんにべったり甘やかされて、ほぼ骨抜きになっているのかと思っていましたが」


「いや、まあ、そうなんだがね。あの人、わたしのことを完全に子供扱いで、あやとりして一緒に遊びましょう、なんて言い始めてね。さすがに退屈したので、抜け出してきたのさ」


「いいじゃないですか、あやとり。一緒にしてあげれば。それから子供扱いって、フレデリック君は子供ですよね」


 何かがおかしい。


 人称が、わたし。呼び方が、ミリア。


 大人だったときの記憶はない、そういってましたよね。


「あ、あーっ! そうだったね! でもさ、ぼくってほら、男の子じゃない。あやとりっていうのは、あんまりしっくりこないな」


「……」

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