炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -8-
「む、こいつ魔法が効かないのか!」
「ケケッ!」
むしろ、ほんの少しは与えていた炎のダメージを氷で冷やされて、モルダリンマンはどことなく癒されたような顔さえしています。
「フレデリック君、なぜあなたがここにいるのですか?」
「あの後、わたしも宿屋を出て散策していたのだが、近くにダンジョンがあるという張り紙を見つけてね。腕試しにやってきたというわけさ!」
フレデリック君は意気揚々としています。
大魔導師はこの大陸に一人でじゅうぶんと、ある日突然、わたしに魔道合戦を挑んできた男です。自分の技をひけらかすのが好きなタイプなのでしょう。
「そうでしたか。あのおかみさんにべったり甘やかされて、骨抜きになっているものだと思っていました」
「いや、まあ、そうなんだがね。あの人、わたしのことを完全に子供扱いで、あやとりして一緒に遊びましょう、なんて言い始めてね。さすがに退屈したので、抜け出してきたのさ」
フレデリック君はやや斜め横を見ながら、鼻をかいています。
「あやとりくらい、一緒にしてあげればいいではないですか。それから、子ども扱いと言いましたが、フレデリック君は子供ですよね」
大人だったときの記憶はないと言っていました。
いよいよ雲行きがあやしいです。
「あ、あーっ! そうだったね! でもさ、ぼくってほら、男の子じゃない。あやとりっていうのは、あんまりしっくりこないな」
「……」
今さら遅いです。
それから、某名探偵コ〇ンと被らないか、心配になってきました。
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