炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -5-

 ようやく一人になれました。


 ここのところはずっと小さい子供を相手にしていたものだから、少々くたびれていました。


 正直なところ、あのおかみさんに任せて、こうして自由に歩けるのは清々しいものです。


 さっそく、リンリンシチーを散策してみることにしましょう。 


 とはいえ、数ヶ月前にも用事があり来たところなので、街の様子はそう代わり映えありません。


 裏通りにある鉱石屋は相変わらず、真っ黒なカーテンを引きながら、その影でときおりイラついたように鉱石に釘を刺して売り物を台無しにしていますし、そこのエナジードリンク屋は客から生気をこっそり吸い取って、それをポーションに詰めて、ふたたび何食わぬ顔で客に売っています。


 それなりに平和な、いつもの風景です。


『きたる冒険者たちよ! ダンジョンに挑戦して一獲千金を得よう!』


 なんでしょうか、これは。


 掲示板に張り紙が掲載されています。


 どうやら、リンリンシチーを出て少ししたところに洞穴があり、そこがダンジョンになっているらしいです。


 そのダンジョンには、そこまで強い魔物もおらず、その割りには稀にゴールドモンスターが出没するらしいです。


 持参金を増やしたい。


 悠々自適な一人暮らしならいざ知らず、今は子連れの身。


 先立つものが必要です。


 ダンジョン。戦闘はそこまで得意ではないですが、強敵がいないのであれば、挑戦してみるのもいいかもしれません。


 


 


 ミリアが掲示板前を去ってすぐ。


 町内会の班長さんがポスターを張り替えにきた。


『きたる冒険者たちよ! ダンジョンに挑戦して一獲千金を得よう! ※雑魚敵の中にときたま現れるモルダリンマンに注意!』

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