炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -3-
目覚めると、ベッドにフレデリック君はいなかった。
階段を下りてロビーに行くと、おかみさんがフレデリック君を餌付けしているところを発見。
こんな場所で食事とは、他に客はいないのかもしれませんね。
「まあまあ~、えらいわねえ~、お腹が空いていたのね~、たくさん食べるのよ~」
フレデリック君はパンに、シチュー、ベーコン、卵、牛乳、たくさんの食べ物に囲まれていた。
「こ、これは――。こんなに多くの食事を提供頂いても、お支払いできるお金は、わたしにはありませんよ」
「あらあら~、お代なんていいのよ~。フレデリック君に、お腹いっぱいになってもらいたいだけなのよ~」
ん? フレデリック君にだけですか?
「わたしの朝食は……」
「あらあら~、そうねえ~、忘れていたわ~。これから用意するから、ちょっと待っててね~」
忘れていた。フレデリック君には、これだけ用意しているのに……。
「やっと起きてきた。ぼく、もう先に食べてるよ」
フレデリック君は口いっぱいにベーコン頬張りながら、スクランブルエッグにも手を伸ばそうとしている。
ジュルッ。
よだれが出てきました。
おかみさんはようやくわたしの朝食も持ってきてくれましたが、フレデリック君と比べると、質素この上なかった。この差は一体どこからくるのでしょうか。
それでもお腹は空いています。いただきましょう。
はい、この硬いパンは、噛みちぎるのも至難の業です。
「その~、お客様~、昨晩着いたばかりですが~、お召し上がりになった後は~、もうお立ちになりますか~?」
「はい、そのつもりです」
「あのう~、急ぐ旅なのですか~」
「いいえ。そういうわけではありませんが、長居する理由もありませんので」
おかみさんは一体、何が言いたいのでしょうか。
「なにか、わたしたちに立ち去ってもらいたくない理由でもあるのですか」
おかみさんは困ったように首をかしげると、「そうねえ~」と言って、話し始めた。
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