炎の大魔導師と氷の大魔導師は大図書館を目指す -1-

 あんなところに魔物が。


「モアファイ――」


「モアモアブリザード!」


 草むらの影にいた魔物を、フレデリック君の魔法が一発で仕留めた。


「わーい! 見てた? ぼく、強いよね!」


「見てました。魔法の調子は良さそうですね」


「うん! ミリアおばさん!」


「お姉さんです」


 言い直す気がないようなので、そのうちいてかましてやらないといけません。


「ハクハク大図書館は遠いので、隣町のリンリンシチーにて一泊します」


「えー? あとどれくらいで着くの?」


「歩いて三時間です」


「三時間も!? ぼくたち、大魔導師なんだよね。魔法でちゃちゃっと移動ってできないの!?」


「フレデリック君は忘れてしまって、わからないのかもしれませんが、わたしたちは大魔道師でありながら、唱えられる魔法はそれぞれ炎魔法、氷魔法のみです。魔道には精通していても、いわゆる魔法使いではないのです。移動は自分の足で歩くしかありません」


「なんか、納得できない……。ぼく、もう歩けないよ!」


 フレデリック君はぐずると、草むらの上に座り込んでしまった。


「仕方ありません。では少し、休憩しましょうか」


 ポケットからキャンディーを取り出すと、フレデリック君に渡してやった。


「ありがとう! ミリアおばさん!」


「わざと言ってますか。ミリアお姉さんです」


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