湊はえりを支配したい? (一話完結)

「明日は、私が料理つくる」

「えぇ?」

「大丈夫!」

「…何作るの?」

「餃子」

「そんなん食べたら、その後、キスできなくなるじゃん」

「そんなんて…」

えりは、イラッとした。

「後でキスしても、美味しいやつがいい」

湊はそういうと、ベットにえりを押し倒してキスをした。

「甘いのとか…。俺、チョコ好き…」

湊はキスを繰り返す。

「ん…」

えりは、湊の肩を押し返した。

「…なんでそんなに私の料理食べたがらないの?」

えりは、怒ったように言う。

「…別に…」

「こっちは、ずっーと気を悪くしてるんですけど…」

「…だって…」

湊は気まずそうな顔をした。

「湊が作る料理よりは、美味しくないだろうけど、そんなに頑なに拒否られるとムカつくんですけど」

「…だって…。えり、人の料理食べると美味しいって前に言ってたから…」

「え?」

「だから!自分が作った料理じゃなくて、人が作った料理が美味しく感じるみたいな事言ってたでしょ!」

「…言ってたけど」

「だから、俺がつくるの!俺の方がうまいし!」

「…でも、たまには…」


「俺、餌付けしたいの」

「は?」

「釣った魚に、いいエサをあげたいの」

「餌…」

えりはめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。

「好きな子を、甘やかしたいの」

「そうなの…?」

湊の意外な答えに、えりは少し驚いた。


「俺、彼女いっぱいいたけど、本当に好きで付き合ったのえりだけだから」

「…それ、ムカつくのか嬉しいのかよくわからない…」

「…そうか…。じゃ、前半忘れて…」

「んな事できるかい」

「で、」

湊はスルーして続ける。

「初めて自分の癖が分かったの」

「癖なの?」

「そう。えりを支配したいの」

「怖っ!怖すぎるわ!」

えりのツッコミに湊は笑った。

「だね。ま、とにかく、えりは、俺に甘やかされてたらいいの」

「やだな…」

「何でだよ」

「私も甘やかしたい」

「ダメ」

「何で?」

「俺の事、好きでいるだけいい」

「好きだよ」

「じゃ、それでいい」

「やだな…」

「じゃ、毎日甘い言葉を囁いて」

「もっと嫌だな~」

「じゃ、俺に食べられて」

「それはそれで…」


湊は、急に覆いかぶさるやうにえりを抱きしめて、キスをし始めた。

「あぁ、支配したい…」

「だから、怖いって…」

えりは笑った。

えりは、湊の首に手をまわして、キスに応える。

「湊のしたいこと、全部してあげる…」「……」

「ん?」


「俺、もしかしたら支配されたいのかも…」

「…」

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