同窓会 4

「ん…」

朝、えりは目を覚ました。

横を見ると、湊は珍しくまだ、寝ていた。

(…?あれ?どうやって帰ったんだっけ…)えりは隣にいる湊の寝顔を見た。

(新鮮…)

えりは、湊の頭を撫でた。

(かわいい…)


(あ、朝ごはん作ろうかな…)

そっと、ベットから、抜け出す。

湊は起きなかった。


「ん…。!あれ?!今日何曜日!」

湊は、ガバッと起きた。

「日曜だよ」

「あ…、そうか。寝過ごしたと思って、びっくりした…」

「こんな時間まで寝るなんで、よっぽど疲れてたんだね」

「お前のせいだよ…」

「え」

「酔っぱらい…」

「あ、あぁ…。なんとなく湊に絡んだ記憶はある…」

「結局、クラスの皆には付き合ってることバレて」

「うん、別にいいんじゃない?無駄に疲れた」

「それは、良かったんだけど。帰ってから、質問攻め…。わざわざ、zoomで二次会やったんだから…」

「へー」

「寝たの朝」

「大変だったね…」

「えりのせいだから…」

「何で?」

「えりが、皆の前で、名前呼んだり、抱きついたり、キスしたりするから…」

「え?!嘘!!」

「ホント」

「嘘でしょ…。恥ずかしすぎる…」

「ん、ま、だからそれはそれでドキドキして良かったんだけど…」

湊はニヤッとした。


「ね、何か作ったの?」

湊が鼻をクンクンさせて聞いた。

「あ、ごめん。朝ごはん作っちゃった」

湊は、えりが料理することをよく思っていない。

湊いわく、餌付けをしたいらしい。

(失礼な、やつだ)


「ありがとう。お腹すいた」

「サンドイッチとコーンスープなんだけど。私、食べたいのにしちゃった」

「…サンドイッチ好きだったの?」

「うん」

「知らなかった」

「昔、お兄ちゃんがね、作ってくれて。卵とハムだけのサンドイッチなんだけど、それが美味しくて。たまに食べたくなるの」

「へー」

「だから、別に特に美味しいわけじゃないよ」

「うん、ありがとう。…えりの、小さい時の味か…」

「いや、親が亡くなってからだから、12、3歳の時」

「へー。いただきます」

「…」

湊がどう思うか心配で、顔を覗きこんだ。

「うんっ。普通」

「おいっ。ってそうだよね。私は好きなんだけど」

「うん、美味しい」

「うそ」

「美味しいよ。自分以外の人が作った味」

湊はニヤッとした。

えりは、湊に、自分以外の人が作った料理の方が美味しく感じると話していた。

それもあって、湊は家で、料理担当をしてくれている。

「たまに、食べると、だけどね」

「やなやつ」

えりは笑った。

「でも、湊が私の料理食べてるの、感動…」

「何でだよ」

サンドイッチを食べながら、湊は笑う。

「美味しいって言って食べてくれるの幸せだね」

「…そうでしょ」

「うん」

「譲らないよ」


「にしても、昨日は良かったなぁ」

「疲れたって、文句言ってたじゃん…」

「いやいや。えりがね、ちょっとずつ、俺らの事、バラしていっちゃう所が…」

「恥ずかしい…」

「最初はね、抱きついてきて。酔ってるからだって皆思ったんたけど。俺がお姫様抱っこしたり、えりと話してる口調とかで、オヤオヤ?って」

「湊もやっちゃってるじゃん」

「で、えりが 湊 って呼んだから、またオヤオヤ?って。最後にキスでトドメ」

「最悪だ…」

「最高でしょ。俺の彼女って皆にバラした時の驚きよう…。最高だね」

「ひくわ…。マジで」

湊は満足そうに笑っていた。

(ひくわー…)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る