同窓会 1 (全4話)

「中学の同窓会?」

「あぁ。哲が、幹事でやるんだって」

2人は、夕飯を食べながら話す。

今日は、湊が得意なオムライスだ。


「へー。湊行くの?」

「うん。一応、クラスの人気者で通ってたからね」

湊はニヤッと笑った。

「卒業してもまだ猫かぶるの?」

えりは笑って聞いた。

「別にさぁ、いやいや猫被ってたわけじゃ無いんだよ。人気者っていう見返りかあったわけだから」

「ふーん。知らんけど」

「でさ、えりも行こ?」

「行かないよ」

「何で?」

「友達、愛花しかいなかったし。湊とだって、クラスの中では仲良しじゃなかったし」

「そう。だからさ、俺と付き合ってるの隠して行こ?」

「はい?」

「あの頃もちょっとドキドキしてたんだよ。友達だったの隠してたじゃん」

「うん」

「だから、付き合ってるの隠して皆の前に行くのドキドキするじゃん。それがしたいの」

「えー。それだけのために?」

えりは、スープを飲む。

「そう。で、後で落ち合って帰ってきて仲良くしたいの」

「何の癖じゃい」

「…癖だから。付き合ってよ」

「嫌」

えりは、オムライスの最後の一口を食べる。

「えー、いいじゃん。お願い。クラスに馴染めるようにちゃんとフォローするから」

湊は、長年、猫を被ってきたので、そのへんのスキルは高い。

たぶん、ちゃんとえりが居心地のいいように回してくれるのは、えりにはわかっていた。

「私の…見返りは?」

「…なんでも」

「何でも?!そんなに行ってほしいの?」「うん」

「わかった」

「やったぁ」

湊は子供みたいに嬉しそうに笑う。

「見返り…。考えておくね」

えりは笑っているが、目が少し怖かった。

湊は、見返りがとんでもないものなんだと気がついた。

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