湊 デートがしたい (前編)

湊とえりはベットの上で寝転んだ。

「ねぇ」

湊は、えりの体にキスをしながら、話しかけた。

「デートとか、したい?」

「ん?うん、そうだね」

「遊園地的な?」

「乗り物乗れない。酔うから…」

「そうなの?じゃ、…買い物とか、映画とか…」

「…デートかぁ」

「したくないの?」

「美味しいものは、湊作ってくれるし。外だと、甘えられないしな…」

「…なんかさ、家でしてばっかりって…。どうなの?知らんけど」

「知らんけど…ね」

えりは笑って言った。


「何か、こういうの新鮮で…」

えりは湊の体を抱きしめて言った。

「するの久しぶりってこと?」

「好きな人とこんなにたくさん一緒にいれるのが…」

「パブロ君、勉強の鬼だったから?」

「…そうだね」

パブロはえりの長年付き合ってた、元カレだ。

「ん…。毎回、こうしてたい?」

「うん…。こうしてたい…」


「やっぱ、どっか行こ」

「…どうして私の意見聞いた?」

えりは、笑った。

「思い出の場所は、沢山あったほうがいい」「…別れる気…?」

「違うよー。…パブロ君より沢山出かけたい」

「また…、そんなこと…」

「ね、俺は、パブロ君の事、気にするよ」

「…」

「もう、諦めて」

「何で?」

「気にしてないふりするほうが、不自然だし、疲れる」

「私、湊が好きだよ…」

「わかってる」

「わかってるんだ」

えりは笑った。


「とにかく、デート、してみたい」

「してみたい?」

「うん。本当に好きな子としてみたい」

「かわいい」

えりは湊を抱きしめた。


「…なんか俺の恋愛スキル低いって思ってない?えりのほうが低いからね」

「そう…ね…」

「俺、彼女と呼ばれる人は、いっぱいいたから」

「…何急に…」

えりはムッとした。

「えりにも、ヤキモチやいてほしい」

「それで、カワイー、とはならないからな」

えりは、きつく言った。

「そっか。じゃ、忘れて」

「そんなにすぐ忘れないからな」

湊は、珍しく素直に笑った。


「とりあえず、今日はしよ…」

「いやだ」

また、湊は笑った。

えりは笑わなかった。


「じゃ、これからどっか行こ」

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