湊、えり 幸せの番外編


思いが通じ合った2人はベットの上で、優しく抱きしめあっていた。

お互い側にいられるのが嬉しくて、離れられなかった。

「湊」

「ん?」

「湊」

「何?」

湊は笑った。

えりは強く抱きしめた。

「好きだよ」

「うん…俺も」

お互い見つめあった。

「…好きだ…」

そういうと、何回も優しくキスをした。

「湊」

「どうしたの?」

湊はえりの頭をなでた。


「ずっと、そばにいたい」

「うん。そばにいるよ」

「安心させて」

えりは、また強く抱きしめて、湊の胸におさまった。

「えり…。愛してる」

「うん」

「大好き」

「うん」

「ずっと一緒にいたい」

「うん」

「…俺だけ言ってない?」

湊は笑った。

「うん」

えりも笑った。

「幸せ」

えりは、湊の心臓の音を聞いていた。

「俺の方が、幸せ。何年片思いしたか…」

「でも、湊、彼女いっぱいいたじゃん」

「うん、えりのこと、忘れたかったから。パブロ君の事ばっかり考えてるえりを見るのが辛くて」 

「好きで付き合ってたんじゃなかったの?」

「…そうだね…。体だけ…」

(やべっ!!)

「…女の敵」

「え…。ごめん…。でも、お互い了承してたし…」

(あー!やべっ!)

「ひく」

「…昔だから、いいじゃん…」

「ひく」

「俺の腹黒いとこも好きって言ってたじゃん…」

「それとは違う気がする」

「…気持ちがしっかりあって、体の関係ある方が、俺は嫌。だから、えりの方が残酷だよ」

湊はちょっと怖い顔をした。

「…そうかな…」

「俺はそう…」

えりは、何も言わず湊に抱きついた。

「…昔の事だもんね」

「何?自分の話になったら逃げてる」

「…バレたか…」

湊は怒った顔をした。


えりは、もっと強く抱きしめた。

「パブロより好きっていったら…信じる?」「信じない」

「アハハッ。何で?」

「パブロ君との歴史が深すぎる。何年だよ付き合ってたの」

「遠恋入れたら、6年?」

「ほら、そっちの方がひくわ」

湊もえりを強く抱きしめる。

「遠恋引いたら、4年くらいじゃない?」「そうですか」

「でもね、パブロ大学入ってから、ずっと勉強してたから、恋人らしい事全然してこなかった」

「そうなの?」

「それ抜かしたら、全然、1年くらい」

「無理やりだな」

湊は笑った。


「今、湊といるのすごい…幸せ」

「本当かなぁ」

「湊いないと…」

「いないと?」

「困る…」

「微妙だな」

湊は笑った。

「生きられない」

「怖っ」

湊はまたギュッと抱きしめた。

えりもまた強く抱きしめた。


「あーあ、パブロ君超えてぇ」

「私も、湊の元カノ超えたい」

「なんじゃそれ。同じ扱いにすんな」

「まだ全然してない」


「まじかよ…」

湊は、片手で頭をかかえた。

「ん?」

えりは、湊を見つめた。

「俺、こんな…、欲望にまみれて、自分勝手なるとは思ってなかったから…。そんなふうに言われたら、また理性ぶっ飛ぶよ…」

「うん、いい」

「おいっバカ。知らねーぞ…」


湊は、えりの上に覆いかぶさって急に深いキスをした。

「…本当に酷いことしちゃうから…」

「いいよ」

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