第26話 先進国となっても

 子供が小学生の時学校から帰ってきて、「〇〇ちゃん、プールの前の検査で髪の毛にシラミあったんだって」と言う。子供はケロッと話すが、私は平静を装いながら、内心は「えっ、戦後子供達の頭に真っ白になるくらい、粉をふりかけ駆除したといわれる、あのシラミっすか!?」という気持ち。

 うちの子と大の 仲良しで、その子の事も我が子同様心配もし、すぐに駆除できたようで安堵した。

 今さらではあるが調べると、戦後に発生したシラミは衛生環境の悪さが原因だったが、最近のは種類も違うし、衛生環境は関係ないらしい。

 またある日のこと、友人から聞いた話だが、隣人の幼稚園児が腹痛を訴え受診したところ、お腹に長い寄生虫がいて入院したと聞き、戦後相当たつのに、この虫たちは存続しているのだな、と不思議な気持ち。

 私の祖母は、畑で作る野菜の肥料を肥溜めの糞尿を使っていた。桶に入ったのを両肩に担いで畑まで運んでいた。その野菜を時々もらって食べていたからか、私が小学校低学年まで毎年蟯虫検査に引っかかり、飲み薬をもらって飲んでいた。何人かお仲間がいた。 

 今は、肥溜めを肥料として置いている家は随分少ないとは思うが、まだ低学年の子供への蟯虫検査は行われているだろう。

 今は亡き寄生虫学の藤田紘一郎さんは、著書で「アレルギー病は、体に寄生虫がいなくなった事が要因」といっている。そうかもしれないと思う。あまりきれいにしすぎるのもいけないように思われる。しかし奴らも奴らで、いくらこの国が高度成長を遂げていて、除菌、殺菌とやっていても、令和の時代に生き残っている。


 

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