第25話 ビビットカラー

 今まで出会った中、色があまりにも美しくしばし見とれてしまった虫がある。登山中に見たキアゲハの幼虫がまず思い浮かぶ。ビッグサイズで体調10センチはあった。触ってみたくなるぷにぷにのボディ。鮮やかな黄緑に、黒が効いている。

同行の方と二人、少しの間立ち止まってながめ、感嘆の声が漏れた。

 タマムシも美しかった。真夏のカンカン照りの日に森林公園にいた。虹色の光沢のある羽。この美しい羽をもったばかりに、法隆寺の玉虫厨子には、4000匹以上のタマムシの羽が使われた。その時代の職人も魅了され、芸術作品として昇華させたいと思ったのか・・・

 虫ではないが、そのインパクトのある色で、強烈に嫌悪してしまった生き物がある。以前蓮の花を見に蓮池に行った時のこと。丁度見頃の時に来ることができ、折角だからスマホで撮影しようと被写体探しをしていたら、蓮の茎に何やらラブリーなピンク色で、粒々が合わさり丸くなったものが付いている。百閒は一見にしかず。本当に気味が悪いのだ。それが邪魔をして、蓮の花を撮影できなかった。帰宅後すぐに調べると、ジャンボタニシの卵らしい。食用にするためにジャンボタニシは日本に入ってきたという。友人は用水路の壁に、あのラブリーピンクがびっしりと張り付いているのを見て、寒気がしたと言っていた。不似合いな色をしているのは、罪だなと思う。

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