第24話 大発生

 今まで2度カメムシが大発生したことがある。どちらもまず地元紙に載り、知った。そういえば夜になると網戸にカメムシが張り付いている数が例年より多少多かったな。新聞に掲載された日から日を置かず、車で外出すると、橋の灯りにおびただしい数の黄緑色のカメムシが、集まって飛んでいる。うひやぁ~という言葉が口をついて出てくる。スーパーの前の自動販売機の灯りにも大量に集まっており、滑り落ちていくものもいて、それが盛り土のようにこんもりしているのも見た。わかりやすく例えるなら、5キロの米をザーッと三角に盛ったくらいの量である。きっといたるところの自動販売機や、外灯なども同じ有様であろうと思った。ここにお腹をすかせた鳥を連れてきたい。当分困らないだろうに。

 翌朝ある店の前で大量のカメムシの死骸を掃いていた。これも連日続けばうんざりするだろう。

 独特の匂いもこの時期あちこちから漂っていた。

 昔知人から聞いた話。授業中にどこからかカメムシ臭がし、教室が少しざわついた。すると、ある女子のスカートの腰部分にカメムシが挟まっていることがわかり、明るい笑いの場となったそうだ。眠気と戦う午後の授業に、カメムシも一役かったという話。

 


 

 

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