第19話 食べる虫

 昆虫食の話を耳にする昨今。母は蜂の子を昔食べた事を話す時、遠い目をする。ただ乾煎りしただけの蜂の子が、この上なくおいしかったという。

 旅行の折に産直店をのぞくと、真空パックのイナゴの佃煮が売られているのを見たことがある。地域の食文化として受け継がれていくのは、大切なことだと思う。しかし私はなるべく口にしたくはない。しかしそう決意した矢先、知らぬ間に口にしていたのであった!

 ある日夫が実家から、義兄の海外出張土産のドリップコーヒーをおすそ分けで、3袋もらってきた。娘と食後に淹れて飲んだ。あっさりして飲みやすかった。

 後日娘が祖母宅へ顔を出したのだが、なんと昆虫で作られたコーヒーで、夫の姉は、気持ち悪がって飲まなかったとの事。私だって飲みたくなかった・・・。

 義母は、「あげたとき、昆虫のコーヒーって伝えたけど・・」と言ったらしい。

夫に聞くと、「そういえば、なんか言ってたな」と涼しい顔で言う。

 娘と今度から外国製の食べ物を口にする時は、裏の原材料を見よう、と言い合った。この話を友人にしたところ、「でも英語で書いてるの、わかる?」と言われた。パッケージに分かりやすく昆虫のイラストがほしいところ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る