第9話 蚊のスマートな叩き方

 知人は真夜中、耳元でブーンとする羽音にウンザリしていた。腹を据えて退治する算段で、部屋の灯をつけ、「さあこい!」とばかりに右腕を前に突き出した。

 しばらくして、敵は上手い具合にその腕にとまり、口の針を皮膚に突き刺した。すぐさま握りこぶしを作り、力をこめる。すると敵の口針は、硬い筋肉につかまれ抜けず、逃げられないそうだ。そこをバチーンと叩きのめしたそうな。

 なんて冷静。かなりスマートな叩き方である。しかし力をグッと入れるのがポイントなので、腕に限定されそう。

 うちの夫は、真夜中に蚊が出没したら、ハエたたきを取る間もなく、手だと、体温を感知するらしいので、逃げられる。それでもっぱらパッとつかめる枕で叩いている。

 枕が、魚拓ならぬ蚊拓になっているし、夫の血をいっぱい吸った後叩かれ、「夕べ鼻血でた?」と聞いてしまうくらい血の跡がついている。。という枕に夏の間はなっている。これは、スマートとはいえないかな。ハハハ~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る