暗殺道具展覧会

「きぃぃぃぃぃぃぃぃくぅぅぅぅぅぅぅぅぅ?」


 異様に圧のある笑顔を浮かべながら、きくの両頬を引っ張る昀昀いんいん


「い、いへへへ! ひかはへぇはほ仕方ねーだろ! ふほぉははひはへへひはほほは向こうから仕掛けてきたことだ!」


「でも、それにしたって! それにしたって! 『唐氏』の現当主と一戦交えるだなんて!」


 怒っているのか混乱しているのかはっきりしない態度の昀昀いんいんである。


 両頬が彼女の手から解放されると、きくは仕方ないとばかりに諭した。


「もう決まっちまったことだよ。やらねーと、あたしはめでたくイカサマ犯。この街にいられなくなっちまうよ」


「でもでもっ。博打でいっぱい稼いだんでしょう? だったらもうこの街に用は無いじゃない」


 その通りだ。


 けれど、「やらないと街を追い出されるから」というのは、所詮「建前」だ。


 本音は別にあった。


「だけどよ、『唐氏とうし』って連中は、「邪派」認定されてねーんだろ? だったら、こんな事でもなければ、堂々とその一員に喧嘩を売る機会なんかないだろうよ」


 昀昀いんいんはため息をついた。


「結局、それが狙いなわけね」


「そうだよ。……あんたも分かんだろ? あのお嬢様。ありゃ、かなりと見たぜ」


「……ええ。その通りよ」


 昀昀いんいんは緊張の面持ちで、遠くに立つ黒衣の美少女——とう雪英せつえいへ目を向けた。


 三人は現在、石敷きがなされた大きな広場に立っていた。


 ここは居住区の中心にある、『唐氏』の敷地内だ。

 巨大な円筒のような立派な屋敷を中心にして、四角い壁で区切られた広大な土地。四隅には見張り台があり、東西南北の四面には門がある。一瞬、宮廷かと思うくらいに立派な住まいと庭、壁だ。

 三人は、その広大な庭の南端付近、開けた場所にいた。


 きく雪英せつえいの勝負は、ここで行われることとなった。


 『唐氏』の当主である彼女は、この街では王族くらいの知名度と注目度を誇る。そんな彼女の試合が始まるとなれば、夜であろうともその噂は稲光のごとき早さで広がる。


 昀昀いんいんもその噂を聞きつけ、この屋敷へとやってきた次第だ。


 ちなみに、この屋敷の四方の門は頑丈にできており、なおかつ番兵もいる。当主の許しが無い者は一歩も入ることはまかりならない。……しかし昀昀いんいんはどうやら以前から雪英せつえいと知り合いだったようで、きくと一緒にこの敷地内へ入れてもらえたというわけだ。


 どういう知り合いであるのか訊いてみたいきくだったが、今はそれは置いておいた。優先度が低い。


「すげーよなぁ。うちらとそう年も変わらないのに、こんなでかい屋敷の主様だとよ」


 自分よりも小柄で幼げな(しかし体の凹凸は自分を優に超える豊満さを誇る)雪英せつえいを見ながら、きくはしみじみつぶやく。


 昀昀いんいんは少し気遣わしげに言った。


「……彼女、あんな姿形だけど、実年齢はよ」


「はっ——?」


 きくは目ん玉が飛び出そうになった。


「え、い、いや、でもあれ、あれ……」


「『亜仙あせん』っていう体質なの、彼女。……武功の修練、特に内功の修行を長年続けている過程で、稀に肉体が変質して、老化が止まることがあるのよ。つまり不老長寿。それが『亜仙』よ。……まぁ、老化が止まるだけで、寿命は少しだけ延びる程度だけれど」


「まじか……そんなもんがいるなんて、やっぱ武林てやべーわ。…………いや待てよ。「亜」があるってことは、「真」もあるんじゃねーのか? 本物の不老不死がさ」


「ええ。『真仙しんせん』という概念は確かに存在するけれど、これは概念だけ。実現はされていないわ。遥か昔、この大陸を最初に統一した王朝の皇帝は、永遠の命と権威を手にいれるべく『真仙』になる方法を探したらしいけれど、結局見つからなかった。他にもあらゆる門派や勢力が探したけれど見つからなくて、いつしか『真仙』は伝説上のものとしてのみ扱われるようになって——」


「あー悪い。あたしから話振っといて悪いけど、そろそろ行かないと」


 きくは離れた場所で立って待ち続けている雪英せつえいを指差す。


 昀昀いんいんは再び緊張の面持ちに戻り、小声で耳打ちした。


「……いい? きく。この試合の目的は、決して殺し合いでは無いわ。彼女の目的は、あくまでもあなたの「見切り」の能力が本物か否かを見極める事。それを証明できたら終わりだから、無理に攻めては駄目よ?」


「えー? せっかくの試合だぜ? 攻めないなんて生殺しだろうよ。それに……


 雪英せつえいの実力の高さを知っていた昀昀いんいんは「うぐっ」と唸り、それからため息。


「……これは、わたしもこれから先、覚悟をしないといけないわね」


 それを聞き流し、きく雪英せつえいへ向かって近づいていく。


 声の届く位置まで達すると、雪英せつえいは優美に微笑む。


「作戦会議は終わりかしら?」


「してねーよ、そんなもん。あんたの不老長寿について、少し話してただけだ」


「だから言ったじゃない。貴女よりも人生経験豊富だって。陣痛だって知ってるんだから」


「え? あんた餓鬼いんの?」


「いるわよぉ? 十人。もうみんな私より背丈が上よ」


「十人って…………すげーな。犬猫みてーだ」


「まぁ酷い言い草。貴女も惚れた男が出来れば分かるわよ、お嬢ちゃん」


「でも十人はねーわ」


 軽口を叩き合いながら、きくは刀をおもむろに抜き、正眼に構えた。


 対して、雪英せつえいはゆったりとした立ち姿勢のまま。


 正中線をさらけ出した、一見すると無防備な状態。


 しかしそれは素人意見だ。


 きくには分かる。


 迂闊に攻めたら、地獄を見る。


 そう思わせる「何か」を内包したたたずまい。

 

「……開始の合図はどうするよ?」


「貴女に任せるわ。……でもその前にちょっといいかしら」


 きくの首肯を確認すると、雪英せつえいは敷地内全体に響くほどの声を張り上げて告げた。


「この庭にいるみんな! 危ないから物陰に隠れなさいな!」


 天に繰り返し響いて、やがて空気に溶け消えた甘い鈴音のような声。


 それを聴いた敷地内の者達(仕えている下男や、端で見ている昀昀いんいん)は、言われた通り敷地内に散在する石像や石材、樹の後ろへ隠れていく。……昀昀いんいんは敷地内に植えられている立派な樹の裏に。


 きくは怪訝そうに尋ねた。


「いったい何が始まるってんだよ?」


「すぐに分かるわ。それより……開始の合図はどうするのかしら?」


「ああ。じゃあ——、だ」


 言ってすぐに、きくは構えに気持ちを強く乗せた。


 そして、目で、肌で、耳で、鼻で、空気に触れる舌で、剣尖の延長線上に立つ雪英せつえい


 ——「見切り」のコツは、「


 人は往々にして、自分の人生の中で培ってきた常識の範疇で物事を決めがちだ。


 なので、その「範疇」を放棄する。


 偏見を無くし、水のような精神で、五感から世界を


 水はほんの少しの振動でも、すぐに震え、波動を作る。


 波動から、水に触れた物の特徴と、次の動きが分かる。


 それと同じだ。


 五感が訴えたほんのかすかな情報。それらから逆算し、次の相手の動きを読む。


 ——それこそが、「見切り」の真髄。


 きくは、それを昔から徹底的に鍛えた。


 どれほど剣技が巧かろうが、きくはやはり女だ。単純な力では大の男には劣る。 


 しかし「見切り」を身につけることで、きくは相対的に誰よりも速く動くことができるようになった。


 一太刀で人体を断ち割るほどの剛剣も、音よりも疾く放たれる神速の剣も、そう動くことが分かっていれば避けるのは難しくない。祖国にいた頃、きくは御前試合にてその「見切り」を遺憾無く発揮し、並み居る剣術達者をことごとく一太刀で負かして優勝してみせた。……「女だから」という理由ゆえか、将軍は複雑そうな顔をしていたが。


 そんな、将軍の顔色さえ変えてみせた能力で、雪英せつえい


 不気味なほどに動かない。

 

 しかし、不意に片腕を持ち上げた。


 ゆったりとした広袖。そのしわの浮かび方から手の動きを逆算。

 指が動く。奇妙な動き方。

 何か持っている。小さな物。

 薄い円型……

 それを持つ指に——不意に強い力が加わった。


 銭貨へ力が加わる。その加わる角度と位置から、その銭貨が「飛ぶ」と確信。


 どこへ?


 


「——!」


 「見切り」を終えるや、きくは迅速に身をひねり、その銭貨が飛んでくる延長線上から我が身を逃した。


 次の瞬間、その銭貨が「ピチュッ」と風を切り、過程の見えない速度で宙を直進。


 きくという目標物を失った銭貨は、昀昀いんいんの隠れていた樹の幹に突き刺さった。


 一瞬だけちらりと見る。——円い銭貨は、半ば以上


(なんつー威力だ、こんなもんにまともに当たったら……)


 戦慄を覚えるきくに追い討ちをかけるように、雪英せつえいは述べた。


昀昀いんいんから聞いているとは思うけれど、教えておくわ。……『唐氏』の専門は「毒」と「暗器」。毒は今回は使わないけれど、暗器だけでも私達は他の追随を許さない。あらゆる角度からあらゆる方法で発せられる暗器の数々、そうそう避けられるものではないわ。逆に言うなら、これらを避けられたら、貴女の「見切り」の能力とやらの信憑性は保証されるわ」


 すでに圧倒されかけていたが、その気持ちを飲み込み、負けじと交戦的に笑い返す。


「へっ、毒も使っていいんだぜ? おばはん」


「ふふ、駄目よ。もし毒まで使ったら、。そういう生意気な口は暗器を避けてみせてから言いなさい、お嬢ちゃん」


「そうかい。んじゃ——ついでに勝ちも得てやるよ!」


 きくは剣尖を前へ突き出して構えた状態のまま、雪英せつえいへ向かって疾駆した。

 

 先ほどのように、銭貨が矢のごとく次々放たれる。

 きくは自慢の「見切り」と、対面したときの面積が最も小さく見える絞り込んだ構えを併用し、最小限の動きだけで回避する。

 それでいて、雪英せつえいとの距離を急速に詰める。


 刀を思い切り伸ばした状態ゆえ、剣尖は一番早く雪英せつえいへと達した。


 左肩を狙ったきくの刺突を、雪英せつえいは小さく横へ動いてかわす。


 だが、そう動くことは分かっていた。刺突は必ず横へ動いて回避するものだ。


 きくは、刀のと我が身のを同時に行い、瞬時に刀を懐へ戻しつつ、流れそのままに「構え」を取った。——川島派かわしまは至刀流しとうりゅう・六ヶ条『鎧透よろいすかし』を出す前の構えだ。


 転瞬の間ののちに放たれた神速の刺突。


 武器を何も持たない丸腰の雪英せつえいは、左腕を前へ突き出すように振っていた。広袖がその動きに合わせて鋭く張り詰める。


 そのピンと張り詰めた袖のふちと、の刃が触れる。


 途端、その袖縁の上を、


 そう。袖が切れた、のではなく「袖の上を滑った」のだ。


 まるで同じ金属の刃に受け流されたように、刺突の方向が微かに歪められ、雪英せつえいの耳元付近の空気を穿つ。


 刺突を避けられたことで、雪英せつえいを間合いの中に招いてしまった。


 雪英せつえいの体を覆う衣服に、ねじれるような皺が浮かんだ。


「くっ!」


 きくは後方へ頭を引く。その一瞬後に、頭があった位置を雪英せつえいの右袖が通過した。

 

 わずかに逃げ遅れたきくの黒い後ろ髪は——その袖の通った先端付近が綺麗に斬られた。


 


 ふんわりとしていて、刀どころか素手でも簡単に引きちぎれそうな薄手の袖が、刃のような硬さと切れ味を得たのだ。


 さらに、それに驚いている暇も無い。


 こちらへ向けられた左手には銭貨。


「ちっ!」


 銭貨が穿ったのは、きくの眉間だった。


 川島派至刀流・五ヶ条『朧舞おぼろまい』。瞬時にその場から身を逃して雪英せつえいの背後を取りつつ、その首を狙って一太刀を薙ぐ。


 だがそれもかがんで避けられる。太刀筋が真上を通過した瞬間、雪英せつえいは蹴りを真っ直ぐ突き出していた。靴の足刀の部分からは、包丁のような刃物がいつの間にか飛び出していた。靴にも暗器か。


 きくはそれを刀身でどうにか防ぎ、さらに蹴られた勢いにわざと流されて後方へ退がり、距離を取った。


 普通ならばそこでひとまず作戦を練り直せるが、今回はそれができなかった。


「おっと!」


 距離が開いたと見るや、雪英せつえいは再び銭貨を弾丸のごとく乱発してきたからだ。


 一発一発が火縄銃にも匹敵する貫通力を誇る銭貨の投擲。尖っていないにもかかわらず樹の幹に突き刺さるほどのその威力は、もはや普通の力では実現し得ない。


(指に内力ないりょくを込めてやがるな……! 面倒くせぇ……!)


 俊敏に駆け回って銭貨を避けながら、きくはそう分析した。


 ——『通天銭箭つうてんせんし』。それが雪英せつえいの使う銭貨の攻撃の正体である。


 まず、銭貨を狙い過たず真っ直ぐに飛ばすための指遣いを学ぶ。目標物に当てるのが上手くなったら、今度はその指遣いを内力を用いて行い、威力を上げて撃つ練習をする。


 そうして身についた『通天銭箭』は、銭貨一枚で頭蓋を貫くほどの威力を誇る。


 使われているのは、『唐氏』が暗殺貴族として仕えていた王朝時代の通貨……の偽物だ。国の経済を狂わせ、滅亡への一役を買った「滅びの悪貨」。この忌まわしき鉄屑を『唐氏』はたくさん所有しており、それらは武器として消費されている。この悪貨の悪名は現王朝の『璘』においては周知なので、手裏剣としてばら撒いたとて何の心配も無い。拾っても貨幣としては使えない。


(遠間とおまに立ってても何の得もねーな。むしろあたしの太刀は届かず、あの女の手裏剣だけが届く。弾切れまで逃げ回るって手もあるが、こっちの体力がもつかどうか怪しい。——仕方ない、また近づくか)

 

 決めるや、きくは悪貨の弾丸をかいくぐりながら接近していき、やがて再び雪英せつえいを間合いの範疇に納めた。


 そこから始まったのは、


 そう、斬り合いである。


 刀剣を手に持っていないにも関わらず、斬り合いという関係が成立していた。


 理由はひとえに、雪英せつえいの衣服の


 雪英せつえいが振るたび、そのゆったりとした薄手の袖は刀のごとく張り詰め、斬れ味を得る。


 袖が刃物になる。


 きくはある意味で、先ほどの悪貨の手裏剣以上の驚愕を心中に覚える。


(一番わけわかんねーのがこの技だ。なんだこれは……!? 袖に何か仕込んでんのか……!? でも見た感じ、そうは見えねーし……どう見ても普通の袖だろ……なのに……!)


 ——『袖刀功しゅうとうこう』。


 袖が張り詰めるような振り方を練習し、それからその振り方に内力を併用する。


 それにより、袖は確かな張力と斬れ味を持つ。


 この袖は非常に薄い生地でできているが、


(……なるほどな、さすが「暗殺貴族」ってわけかい。誰も袖が凶器だなんて思うめーよ……!)


 以上の原理を知らず、しかしきくは目の前の現象に納得した。


 偏見を捨てることが「見切り」のコツだからだ。


 これまでの人生経験で培った常識的見地を捨て去り、虚心となり、「目の前で起こったこと」を「目の前で起こったこと」とのみ認識する。


 ——それを証明するのが、この一戦の目的だったはずだ。

 

「ははっ……!」


 きくの口から自然と笑いが漏れた。

 

 結局、やることは今までと同じだ。


 相手を「見切り」、勝つこと。


 今までと変わらない。


「斬る!!」


 きくの太刀筋から一切の迷いが消えた。


 何合と打ち合わせ続けられる、と袖刀。


 防御する中でも、はほんの微かに角度を変え、刺突や斬り込みに繋げる。


 斬り合いの中で微かに生じる「間隙」を、巧みに突く。


 それによって、とうとう刀の刺突が、雪英せつえいの髪をほんの微かにだが斬り落とした。


 はらり、と落ちる己の髪に目を見開いたのは、ほんの一瞬。


 雪英せつえいの口が——唐突に大きく開けられた。


 上品さのかけらも感じられない大口っぷり。喉ちんこまで丸見えである。


 だがきくはもう、どんな不自然で奇天烈な行動をとられても驚かない。だからだ。

 

 だから、虚心のままに「見切った」。




 ————




 きくは身を捻った。


 その一瞬後に、きくの立っていた位置を「波」が通過した。


「っ……!」


 「波」と同時に聞こえてきたのは、陶器を尖ったもので引っ掻くような、耳に痛い甲高い音。


 そして、雪英せつえいの大口の延長線上にある樹の幹が——その「波」を受けてごっそり丸く削れた。

 

 どういう理屈かは知らないが、驚くべき威力。しかしきくは寸毫たりとも動きを止めず、雪英せつえいへ斬りかかる。


 だが——雪英せつえいから「殺気」が消えたのを察知し、刃を途中で止めた。


 それを見た雪英せつえいは、やや申し訳なさそうに微笑した。


「……ごめんなさいね。本当は『雷声功らいせいこう』まで使うつもりはなかったの。でも、貴女の「見切り」とやらがあまりに面白いほど私の技を読むものだから、少し遊びが過ぎたわ」


「『雷声功』って……さっきのやつか?」


「ええ。内力で声帯を操作して、声の「波」を極限まで細く尖らせて吐き出すの。やり方は教えられないけれど、さっきのように奇襲に使えるし、殺した相手の死因も悟られにくい。……そして、貴女はそんな奇襲すらも読んでみせた。「見切り」とやらがこれほどであるなら、「碗骰わんとう」の骰子さいころの動きを先読みするくらい造作も無いのでしょうね」


「っ……じゃあっ」


 こくり、と雪英せつえいは頷く。


「——川島かわしまきく、貴女の潔白は証明されたわ。この私、『唐氏』の現当主であるとう雪英せつえいの名において、それを保証する」


 その言葉を聞いて、大きな安堵のため息をついたのは、昀昀いんいんだった。


 きくはというと、


(もう少しりたかったんだがなぁ…………ここからが面白くなりそうだったのに)


 やや不完全燃焼で、不満が残っていた。


 そんな二人に、雪英せつえいは歓迎するような笑顔で告げた。


「よかったら、これから我が家に寄っていかないかしら? そろそろ夕食が出来上がる頃だわ」

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