第4話 泡沫フクロウカフェの財務
「そうですねぇ、潰れても潰れなくても影響はないかな?っていう感じでしょうか」
「ん?それってどういう」
「続けれなくはない?みたいな?」
「まじですか」
思った以上に、というか思った通りに経営状況は芳しくない様子であった。二人しかいないバイトの自分以外の時にしこたま客が入っているという淡い奇跡の可能性は消え失せた。
「もういっその事潰してしまって、文房具屋さんにしようかしら」
「おーまいが」
「大丈夫よ。もしそうなっても癒太郎くんは雇い続けるから安心して」
俺が心配しているのはそこではない。いやそこも心配してはいたが、メインはそこではないのだ。もし岡崎さんのいう文房具屋が一般に言う文房具屋であればよい。しかし十中八九そうではないのだ。彼女の趣味全開の、これまでの文房具の定義を疑いたくなるような奇々怪々なアイテムの数々を並べ立てたカオスな店となることを危惧しているのだ。蓄光グッズコーナーなんて作られた暁には広くはない店内の一角に魔女の工房が如き闇の空間で召喚されるに違いないのだ。止めなければ、全力で。とは言ったもののただいたずらに止めれば良いというものでもないだろう。何せ最終決定こそ半ば思いつきのようではあったが、この店の経営状況が芳しくないことは紛れもない事実であろうことは想像に難くない。代案を用意しなければ、それも妥当性のある代案を。
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