第2話 泡沫フクロウカフェのアイデンティティ
「やっぱりこの子、ミミズクみたいですね」
「み、みずく?」
あの日以来毎週現れる常連と化した彼女は「かなめさん」というらしい(岡崎さんがそう呼んでいた)。そして今日、来店して数分も経たないうちにこのようなこと言い出したのだ。もちろんミミズクを知らない訳ではない。フクロウみたいなあれでしょう?なにが違うかって言われたらちょっとよく分からないですけども。ワシとタカみたいな感じなのか?それともタコとイカ?
「ミミズクってあの、フクロウみたいな?タコみたいな」
「そうです。ミミズク。タコ?」
「あー、違いとかってあるんですか?ミミズクとフクロウって」
「あ、そうですね。一応大きくはどちらもフクロウということらしいです。ただこの耳、羽角があるのがミミズク、無いのがフクロウという分け方みたいですね。例外もあるようですが」
「なるほど、確かにブッコローには立派な耳、えーっと羽角?がありますね。そうか君はフクロウカフェにいるがミミズクだった訳か」
当のブッコローは実に惚けた顔をしているように見える。何を言っているのか分からない。初めから自分はミミズクだったろう?とも言いたげな表情である。
さて、どうやらうちの店はカフェどころかフクロウですらちょっと違ったらしい。いや、広義にはフクロウであるらしいから別に違うというほどのことではないのかもしれないが、いよいよアイデンティティの疑わしさに拍車が掛かってきた。
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