第9話

店の中は暖炉が焚いてあり、外との寒暖差が窓に張り付いた水滴で見て取れる。



「わぁぁ!ねえ福田!これ可愛い」

と花形は一着の服を手に取りはしゃいでいる。



「確かに…見た目も良いが‥コレはなかなか上物だな‥」その服は見た目とは裏腹に機能性が高そうだ‥まるで着るテントだな。



「値段も大したもんだ‥」貴族階級向けの服屋か?の割には機能性を重視してるな…となれば…これは旅客向けの店だな。長旅を考えれば質の良いものを買っておくれって話か



「花形…その服来てみろよ、きっと似合うぞ」



「うん!」彼女は嬉しそうに微笑む。こういう所は女の子だなと思うのだが。


試着室から出てきた彼女は、フワッとした雰囲気で暖かそうだ。



「やっぱりな…可愛いぞ花形それ買ってくか?」



「うん!」




「まあ、買う前に他も見てみようぜ」



旅の装備だ。しっかりと選んでおかないとな…ここからの旅は険しそうだ。装備を怠ると死ぬ、それは戦場でも同じだ。




一通り店を見て、俺達は二着ずつ服を見繕った。


「街の喧騒も落ち着いたな」


「ええ、貿易は日中に行われます…夜は静かな街ですよ」

昼間の騒がしさが嘘のように街は静まりかえっている。



「まるで死んでるよう…ですよね街が」



「そうだな」



「明日の朝にはまた騒がしくなりますよ…僕たちは首都を目指すんですよね…朝一に出発して、半刻程で着きます…少し休みましょう」




「ああ…それがいいな」


首都アレグラッツェロ…貿易の盛んな街。ましてや聖地なんて呼ばれている場所だ、場末ですら、薬の売買

奴隷の売り買いが行われているほどだ。もうひと悶着あるかも知れない。今日の所は休むとしよう。



目を覚ますと、日がカンカンに照っていた。

夜の寒さを凌ごうと着込んで眠ったが、あまりに油断すると今度は熱中症にでもなりそうだ。



「おはよう御座います。やはり寒暖差が凄いですよね…砂漠地帯に近い街には有りがちなんですよ」


セイレンは少し笑いながら答える。

「花形さんは先程起きて何処かへ向かわれましたが…」



「まあ…放っておけ…どうせ酒でも買いに行ってんだろ…」



「セイレン」



「はい?」



「お前普通に喋れよ…変だぞその敬語」



「そうですかね…まあそうかも知れませんね」



「だぁぁ涼しー気持ちいい」

と、喧騒と共に花形が部屋に入ってくる。花形の髪の毛は水を含んでいて、少し香水の様な香りがした。



「福田さん、彼女はどうやらお風呂に入ってたみたい…僕たちも頂こうか」



「風呂?ああ…そういえば俺小さい頃から水浴びしかしてこなかったな…」



「背中流すよ」と早くもセイレンは言葉調子を変えている。全く変わったやつだ。



「ああ、頼むわ」






「ちょー気持ちよかったよ」と花形はニコニコしている。



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異世界リベンジャーズ @darumahoushi

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