番外編:父!ホシアキ登場

 

 リビングでは、小太りのおっさんが晩酌を楽しんでいた。

ひせ婆さんの息子で、スンイチの父.ホシアキだ。ホシアキはひせ婆さんに似て、天邪鬼でお喋りで、デリカシーという言葉を持ち合わせていないタイプの人間だ。

 ホシアキは、缶ビール片手に目の前にあるテレビに見入っていた。

テレビでは、大人気バスケットボール選手、七村塁選手の特集をやっている。

シュートシーンになると、「お、いいねぇ」

「うまいっ!」なんて盛り上がりながら肴のエリンギのバター焼きを口に運んでいく。

 ホシアキが此方を向いてきた。酔った時はデリカシーの無いこと狂ったことをよく喋る。

「お前もな、名前を変えろ。」

「急に何でだよ。」

スンイチは、思わずツッコミを入れてしまう。

ホシアキは、バターで炒めて萎びたエリンギと七村塁選手を重ねていた。

「そうだなぁっ、七村エリンギ!!なぁ早そうだろ!?ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

手を陸上選手の様に高速で動かしながら雄叫びを上げてきた。

(いや、俺の要素ないんだけど)


——このセンス、最高に狂ってる…

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