第25話



 それから、ロバート様は私に治療を依頼してきた相手との話し合いを重ねてくれた。そして、治療後に、私の正体を決して探らないこと、無理に王宮に閉じ込めるようなことはしないこと、を確約させた、と言った。



 不安はあるけれど、私は治療したいと思った。ロバート様について、治療院を回っている内に、重篤な病に罹っている患者さんたちを助けたいという思いが強くなっていったのだ。



 テトもジルも不安そうだったが、最終的には私の気持ちを優先してくれた。治療に行く時には一緒に行くことを念押ししていたけれどね。




◇◇◇◇




「ようこそ、お越しくださいました。」




 王宮に勤める、大臣の一人が私たちの案内役となった。



「よろしくね。」



 ロバート様は、飄々と笑った。私は無言で頭を下げた。




 ここに来る前に、極力王宮の者と話さないよう、ジルに約束させられた。姿は、通常通りに変身魔法で錆猫に変えているが、声は誤魔化せない。ロバート様は「過保護だなぁ」と笑っていたが、私はジルの過保護が嬉しくて、約束を守ろうと決めていた。



 いつもよりも深く、ローブのフードを被る。私の少し前にはロバート様が歩き、私の後ろには、テトもジルも着いてきてくれている。とても心強い、とこっそり息をついた。




「こちらです。」



「……よく、来てくれた。」



 応接室に案内されると、一匹の美しい黒猫が待っていた。

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