第24話
翌朝、いつものように、ジルと一緒にロバート様の執務室に行く。大きな、ふかふかの椅子に座ったロバート様は、いつもと違い渋い顔をして待っていた。
「ロバート様?」
「何かあったのか?」
私とジルの問いに、ロバート様は言いづらそうに、切り出した。
「うーん……。あのね……王宮から、サチに登城依頼が来ているんだ。」
「え……。」
「すぐ断ってくれ。」
顔を青くした私と、怒りを隠さないジル。ロバート様は、小さく息を吐くと、説明を続けた。
「ジルとサチが思っていることじゃないよ。サチを無理矢理連れて行こうとか、そう考えているんじゃないんだ。無理やり連れていくなら、登城命令だろう。だけど、サチの意思も大事にしたいから登城依頼なんだよ。」
「それなら、どうして……。」
私が恐々と尋ねると、ロバート様が優しく笑顔を見せた。
「誰かは分からないのだけれど……、治療してほしい猫がいるみたいなんだ。」
ロバート様の話では、王族か、それに近しい猫が重い病に罹っているらしい。ロバート様の表情から、それがとても重たい病なのだと伝わってくる。
「それなら、ロバートが行けばいいだろう。サチが行く必要はない。」
「それがね、女の子がいいみたいなんだ。」
「え?」
「そんな選り好みするやつの所なんか行く必要はない。」
バッサリと切るジルの気持ちもよく分かる。私だって、もし自分の力を求められて、捕らえられる可能性もある場所へ行くのは怖い……だけど。
「ロバート様。もしかして、何か女性特有の病とか、そういうことですか?」
「それが、よく分からないんだよ。もう少し情報を集めてみるね。」
受けるにしても、断るにしても、情報はあった方が良いよね、とロバート様は優しく笑った。ジルは機嫌悪くそっぽを向いたままだった。
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