第23話


「ただいま~。」


 テト共に帰宅すると、ジルが帰りを待っていた。



「あれ、ジル?もうかえってたんだ~」



 テトは驚いたように言った後、ジルがいるなら、と私をジルに預けるようにして、自宅周辺の結界魔法の点検に出掛けてしまった。



「サチ。今日は変わったことは無かったか?」




「うん。大丈夫。いつも通り、治療院で回復魔法を掛けて来たよ。」




「そうか。」



 ジルは安心したように、頷き、お茶を準備してくれる。私も手伝おうと、隣に立つと、ジルの体がピクリと反応する。




「サチ……。」




「うん?」




「ロバートに、何かされただろう?」




「へ?」




 そう言えば、首元を噛まれたんだった。それをそのまま伝えると、ジルの顔はみるみる怒りに染まった。




「……ロバートのところに行ってくる。」



「え、どうして。」



「サチに痛い思いさせたことを後悔させてやるだけだ。」




「ちょ、ちょっと待って!全然痛く無いから!」




「だが。」




「それに今、ジルが行ったら、私この家で一人になっちゃうよ。」




「う……。」



 この家に暫く一人でいても、本当は大丈夫だけど、過保護なジルは絶対に私を一人にさせない。それが分かっているから、少しズルいけど、一人になることを理由にジルを止めた。




「じゃあ、消毒だ。」



「ちょ、ちょっと!ジル!」



 毛繕いしようと私を追いかけるジルと、それは恥ずかしすぎて逃げ纏う私。追いかけっこは、テトが帰るまで続いた。

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