第16話
ジルとテトと共に、ロバート様のいる魔術騎士協会の会長室へ転移した。
「ジル、随分と可愛い子連れてるじゃないか」
真っ黒な黒猫、王家の証である金色の首輪を身につけたロバート様が、私をニヤニヤと舐め回すように見ている。
「ロバート、止めろ。サチが穢れる。」
「助けて欲しいって言うから時間作ったのになぁ」
ニヤつきながら見ることは止めず、ロバート様は話し続けた。
「不思議な子だねぇ。これが聖女なのか。最近ジルが纏っていた魔力もこの子だね。」
「ロバートさま、そろそろジルがばくはつしちゃうよ。」
ロバート様は、ちらりとジルを見て、やっと舐め回すように見ることを止めてくれた。
「テトも魔力がすごいことになってるなぁ。テトの結界魔法、なかなかだぞ。」
「へへへ。やったぁ!」
テトは嬉しそうに尻尾をぴょこぴょこさせた。
「じゃあ、本題。ジルの家より、王家に来なよ。そしたら殆どの事は解決すると思うけど?」
「な…ロバート!」
「ジル、待って!」
ジルは今にもロバート様に掴み掛かりそうだ。毛を逆立て、いつもの優しい目ではなくて、怒りのこもった視線をぶつけている。
「ジルも分かっていたと思うけど?この子、こ~んな力持ってるんだから、王家……うちの方が安全でしょ。サチちゃんはどう思う?」
急に話を振られ、緊張してしまう。胸がドキドキしてきた。だけど、言わないと。
「わ、私は、ジルとテトと一緒にいたいんです。そのせいで危ないことに巻き込んでしまうかもしれない。だから私が守れるように力をつけたいんです。お願いします!力を貸して下さい!」
ガバリ、と頭を下げる。ロバート様の返事を待つ間、心臓が飛び出そうになった。
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