第14話

「ただいま~あれ、サチどうしたの?」




 結界魔法の練習を終えて帰宅したテトが、ベッドで眠っているサチを心配している。



「今日、魔力酔いを起こしたんだ。」


「え!サチ、だいじょうぶなの?」


 テトはベッドの中を覗き込み、サチの顔にすりすりと自分の顔を擦り付けている。



「ああ、眩暈だけだったから、今日ゆっくり休めば大丈夫だろう。テトは大丈夫か?結界魔法の練習を始めてから、頑張りすぎてないか?」



「ううん、まえよりもずっとげんきなんだ~これもサチのおかげ?いっしょにねむってるから?」




「そうだ。俺もテトも、サチといるおかげで魔力も回復力もかなり強くなっている。」




「だよねぇ、ぜんぜんつかれないんだもん。そのおかげで、サチをまもれるからうれしい!」




「ああ」



 テトは無邪気に喜んでいる。だが、これは悪用されたら、かなり危険な力だ。魔力や回復力を増強させ、おそらくどんな病気も治癒できる力。戦争が起きてもおかしくない。王家も神殿も、喉から手が出るほど欲しがるだろう。見つかれば無理矢理にでも連れていかれるはずだ。







 だが、させない。絶対に。







「ジル、かおこわくなってるよ!」


 気がつくと、テトがこちらを覗き込んでいた。


「悪い、夕食の準備をしようか」


「うん!てつだう!」







 この場所を守る為になら、悪魔にだって魂を売ろう。俺は、この世界の悪魔の顔を思い出しながら、決意した。







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