第5話【その頃の富士見書房 『ドラゴンランス戦記』 その2】

 続きです。

 前回は帯の表面と背中面について、ちょっとだけお話をしましたが、実はこの後面には『既刊D&Dの書』として、関連する既刊ゲームブックのタイトルが並んでいました。まだこの頃は外国産ゲームブックの刊行が続いていたようです。最後まで刊行しきれたかは不明ですが。

 

 けれど『D&D』じゃないだろ? とつっこみたくなるタイトルもチラホラ。

 『ポピーのニューヨーク大冒険』、『惑星ボルターナス』、『忍者への道』、『超古代ロボットを探せ』。

 実際の本が手元にないので内容不明ですが、タイトルからしてつっこみたくなります。

 他のタイトルは、まあ、大目に見て『そうかも知れない・・・』と思いますけどね。


 ただ『忍者への道』は、名前からして和風の舞台なだけで、ちょっと気になります。モンスターが妖怪になっているとか。昭和時代はまだ日本の情報は世界に浸透しておらず、『忍者』と『侍』の国扱いでした。逆に日本人が西洋に抱くイメージと同じ感覚だったのだと思います。

 なおゲームブックのFF(ファイティングファンタジー)シリーズでは、『サムライの剣』という作品があって、何かが違う和風作品(途中から和風ガン無視の展開だったと思う)でしたが、それはそれで面白い作品でした(いずれ、『小説家になろう』で連載中の『TRPG冒険狂時代』にて紹介予定)。


 因みに並んだ作品タイトルの一番後ろには、『D&Dファンタジーアート』という画集(当時2,800円)のタイトルもありました。うっすら覚えていますが、表紙が正面からとらえたドラゴンだったように思います。

 

 富士見書房から刊行された外国産ファンタジー小説(及びゲームブック)は、長い目で見ると短命に終わったかと思います(何年間かは続いたけど)。ぶっちゃけ、失敗企画に近かったのではないでしょうか?

 けど得たこともあったと思います。日本人にはこうした外国産ファンタジーは、あまり向いていないのだと。確かに『指輪物語』も長いことマイナー作品(むしろ殆ど無名作品)でしたし、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の大ヒットで、ようやく日本でも陽の目を見た印象があります。

 商業的に失敗したことで、求められるのは国産よりも新鋭日本人作家による独自の新しいファンタジー小説。そう考えられなくもありません。

 それを踏まえて、どこよりも先に『富士見ファンタジア大賞』を創設する切っ掛けになったのではないでしょうか?(状況からの推測になりますが、1988年の8月末日締め切りで第一回の募集が行われ、1989年の4月から5月くらいに発表があったのではと)

 あくまでも筆者個人の推測にすぎませんが、色々と面白い答えが出てきますね。


 因みに書きそびれていたのですが、カバーの折りこみ部分には、富士見書房が発売していた他の外国産及び国産ゲームブックのタイトルも並んでいました。結構出していたんですね。その中には『ダーティペア』のタイトル(ただし1冊だけ)もありましたから、人気作品のゲームブック化も行っていたようです。


 またこの頃『ファンタジー・ファイル』の第1弾として、『モンスター・コレクション』のタイトルも記載されていました。これが最初だったんですね。

 何故かこれは買わずに終わりましたので、どんなものかはわかりません。多分FFシリーズの『モンスター事典』を持っていたから、それで買わなかったのだろうと思います。


 最後にこの『ドラゴンランス戦記』は、電子書籍(アマゾンのkindle)であれば全部のシリーズが読めるようです。三十数年のうちに、全25巻になっていましたが・・・。

 私は読みません。


 以上、この話はここまでです。

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